大学受験において、英語は理系でも文系でも必須科目。
英文法は、その英語を読める・書けるようになるために最低限必要な知識です。
でも英文法って覚えることが多すぎてどうしたらいいのか分からない!時間がかかりすぎて困る!
そういう人も多いかと思います。
英文法はあくまで最低限必要な知識なので、なるべく時間をかけずに身に着けたいものですよね。
そこで今回は、効率を重視した英文法の勉強法をまとめてみました。
英文法は、何よりも超基礎的なことが重要です。
特に中学校で習う英文法は、絶対に落としてはいけません。
「効率的な勉強法」なのに中学内容から始めるの?と疑問に思った人もいるかと思います。
しかし、中学内容が曖昧なままだと、いくら高校内容を勉強しても根本的な理解ができず、
結果として間違いを繰り返してしまい、効率が悪くなってしまいます。
「急がば回れ」は、英文法の勉強においても重要なのです。
実は、どんなに上位大学を目指す人でも中学内容が曖昧ということは多々あるのです。
実は、英作文や文法の間違い探し問題などで受験生がミスをするポイントは、このような「曖昧な理解のまま放置している基礎内容」が多いのです。
大学受験とはいえ、一度中学内容の復習をすることはどんなレベルの大学を目指す人でも一度は必要です。
例えばaとtheの違い、副詞の位置など、深くは意識していなくともいざ問われると自信のない所はありませんか?
ex) My father wakes up at 7 a.m. usually.
この例文にはおかしなところが1ヶ所あるのですが、わかるでしょうか。
誤) My father wakes up at 7 a.m. usually.
正) My father usually wakes up at 7 a.m.
副詞usuallyの位置が違っていました。
「副詞は文頭もしくは文末」とだけ覚えていると、気付かないポイントです。
usuallyの他、alwaysやoftenなど頻度や回数を表す副詞は動詞の前に置かれます。
usuallyは勿論中学で習う単語ですし、大学受験のことを考えた時にわざわざ気にする人は少ないと思います。
ですが、このように意識していなかった落とし穴もあるのです。
しかし、中学内容の復習に多くの時間を割いていてはあまりにも非効率的です。
おススメの参考書は、長沢寿夫『中学・高校6年分の英語を10日間で復習する』(明日香出版社)です。
かなり基礎的かつ間違いの多いところを中心に解説が載っているので、短時間での復習にはとても効果的です。
(1)初心者向け問題集&参考書!『高校英文法をひとつひとつわかりやすく』(学研プラス)
こちらは、かなり基礎的な高校英文法が載っている本です。
中学内容も載っているので、中学時代から英語が苦手だった人にはおススメです。
文字が大きく、イラストや図も多用されていて、「苦手でもできるかも」と思わせてくれる優しいデザインも魅力の1つです。
見開きで左側に解説、右側に問題というレイアウトになっていますが、両者ともあまりボリュームはありません。
本当に最低限の知識で構成されているので、この本については何周もするというよりも1周して基礎固めの目的で使うことをおススメします。
(2)問題集マストはこれ! 『Next Stage』(桐原書店)
これは言わずと知れた大学受験の鉄板問題集、所謂「ネクステ」とはこれのことで、
この1冊さえあれば大学受験の英文法・語法は大丈夫!という受験のプロもいるくらいです。
早慶や東大・京大レベルのことを考えると流石にそれは言い過ぎかもしれませんが、
少なくともそれ以外の大学であればNext Stageをマスターしていれば不安は無いと言っていいでしょう。
こちらは何周かしてしっかりとした定着を目指すことをおススメします。
(3)上級者向け問題集!『頻出英文法・語法1000』(桐原書店)
こちらはNext Stageと同じく桐原書店のもので、内容としては、Next Stageの発展版だと思って下さい。
はっきり言ってかなり難しいので、早慶や東大・京大ないしはそれに近いレベル、
そうでなくとも難問がかなり多く出題されることが予想される大学を目指す人以外は手を出す必要はありません。
ただ、そういった大学を目指す人でもいきなりこれに取り掛かるのではなく、
まずはNext Stageなどあまり難しすぎないものをしっかりとおさえてから仕上げに使うことをおススメします。
(4)参考書の王様!『Forest』(桐原書店)
英文法の参考書といえばこれです。これに載っている文法事項をマスターしていれば大学受験は安心と言っていいでしょう。
何か分からないことがあったらForestを調べる、という習慣をつけることをおすすめします。
また、各章Part1~3に分かれていて、基礎的なところから発展内容まで順を追って理解できるため、
初心者から上級者まで幅広く使える参考書であると言えます。
英文法の問題は、だいたい
・4択空所補充問題
・書き込み空所補充問題
・並べ替え(1~2語不要も含む)問題
・間違い箇所指摘問題
の4つのパターンが出題されます。
問題集にも、もちろんこれらの問題が豊富に載っています。
英語が苦手な人や、これから英文法の勉強を始めようと思う人は、この4択問題だけをまずは解いてみることをおススメします。
それはなぜかというと、「間違いの理由を学べる」からです。
選択肢のうち3つは間違いなので、間違いの理由が必ずあります。
4択問題で重要なのはむしろ、正解を探すことではなく、間違いが間違いである理由を理解することです。
また、4択問題の間違い選択肢は当然「間違えそうなもの」です。
例えばこちらの問題は、②Seenが正解です。
他の選択肢について考えてみましょう。
①the islandが主語のため、無生物である島が能動的に「見る」ということは考えられないため×。
③the islandが主語、looksが述語動詞なのでコンマの前は副詞だが、接続詞等がないため動詞をそのままの形では置けないため×。
④To seeは「見ること」という名詞になるが、③と同じくコンマの前が副詞であることを考えると置けないため×。
このようになります。
②は分詞構文、③は副詞、④は副詞と不定詞の知識を根拠に間違いであることを断定していきます。
ここでわかることは、「分詞構文は主語に気を付ける」「副詞のつくりかた」「不定詞の用法」の3つです。
よって、「それらについて参考書で確認しておく」というタスクが明確になります。
また、間違いの選択肢についても、ある程度パターンがあります。
例えば上記の問題で、
①Can you see
③Have you ever seen
④He saw
という間違い選択肢が出る可能性は低いと言ってよいでしょう。
なぜなら、あまり間違えそうな選択肢ではない=選択肢にしても仕方ないからです。
このように、何でもかんでも間違い選択肢として出題される可能性が高いわけではなく、
あくまでも「こういう理由で間違いそう」という理由があるから選択肢になる、ということも4択問題を解くことで学べます
英文法の勉強で陥りがちなこととして、「何をどこから手をつけたらいいのか分からない」ということがあります。
4択問題ならば「今、何をするべきか」がはっきりするので、
英語が苦手な人やこれから英文法の勉強を始めたい人にもおススメできます。
書き込み空所補充、並べ替え、間違い探しは「考えて作り出す」という作業なので、
ある程度4択問題を解いて自分の課題や問題のパターンを学んでから取り掛かるとよいでしょう。
問題集ですが、何冊も買って手広く進めていくよりも、1冊を何周かするという進め方のほうがおススメです。
ただ、その「何周か」は3周程度が目安で、5周も6周も重ねる必要はありません。
こちらについての理由は、【6 長文を読みながら覚える!※発展※】で述べます。
問題集を何冊も解くとなると、目的が「1冊を終わらせる」ことになってしまい、一番大事な復習が疎かになりかねません。
また、1冊を何周かすることによって「この問題は苦手だな」「この問題なら難無く解けるな」など、自分の得意/不得意がはっきりしてきます。
1冊を何周かするとなると、問題集に直接回答を書き込んで丸付けをして…という方法はとれなくなります。
ただ、「全く書き込みをしない」というわけではないのです。
書き込みはします。が、何を書き込むかが重要なのです。
それは…日付!
え?日付を書き込むの?何のために?と疑問に思った人もいると思います。
今から日付の書き込み方とその効果についてご説明します。
まず、問題集の空いている欄に「解いた日付」をナンバリングして書き込み、回答と丸付けはノートに行います。
次に、間違えた問題に日付のナンバリングを書き込みます。
背景が黄色くなっている文字が書き込み部分です。
上を見ると、5/7に1周目、7/21に2周目、8/11に3周目と3度解いたことがわかります。
問題の横を見ると、1周目と3周目にこの問題を間違えたことがわかります。
つまり、「1周目はわからず、復習の結果2周目には解けたが解き方を忘れてしまい、3周目も間違えた」という経緯が一目瞭然となるのです。
複数回間違えた箇所は特に重点的な復習が必要になる、というわけです。
このように「解いた日付のナンバーを間違えた問題に書き込む」ことで、自分の得意/不得意がはっきりします。
あれ?このやり方だと日付まではいらないんじゃないの?と思った人もいるかと思います。
しかし、解いた回数だけでなく日付もしっかりと記入することで、
「どのくらいコンスタントに問題演習をしているか」「どのくらい期間が空くと解法を忘れてしまうのか」
といった自分のリズムもわかるため、具体的な反省や計画がしやすくなる…と、良い事ずくめなのです。
ただ問題集を何回も解くだけでは、得意な問題にも苦手な問題にも同じだけの時間をかけることになります。
また、「何回も解く」ということだけを目標にしてしまい、1つ1つの問題への取り組みが甘くなってしまうことにも繋がりかねません。
苦手をはっきりさせ、そこに集中して取り組めるような環境づくりが大事なのです。
【4 問題集には〇〇を書き込もう】で紹介した勉強法とぜひ併せて取り組むことをおススメしたいものがあります。
それは、「間違いノートを作る」こと。
「ノートを作る」というと、参考書の内容を自分なりにまとめて…というイメージが強いかと思います。
確かにそれはとても重要なことです。
しかし、英文法の全ての単元でその方法を取っていては、膨大な時間がかかってしまいます。
特に自分が得意な分野でもわざわざノートを作るのは、率直に言って非効率的です。
よって、ノートは自分の苦手分野のみとすることをおススメします。
この方法の手順としては以下の通りです。
①勉強したい範囲の参考書を読む
②問題集で該当範囲の問題を解く←【4 問題集には〇〇を書き込もう】の方法を実践!
③間違えた問題とその理由(4択問題ならば他3つが間違いである理由も)を参考書、もしくは問題集の解説で確認
④③をノートにまとめる
参考書を読んでからいきなり問題を解いていいのです。
自分の苦手分野とは、すなわち問題集で間違えたところです。
1周目の時点で間違えたところは、参考書を読んだだけではあまり理解しきれていなかったところです。
ここをノートにまとめておいて、2周目3周目と問題集を進めていくうちに複数回間違えたものについては、ノートに付箋を貼っておきます。
間違えた回数別に付箋を色分けしてもいいかもしれません。
そうすれば、付箋がついている箇所は特に苦手な箇所ということになります。
間違いノートは、自分専用に作られた参考書のようなものだと思って下さい。
例えば模試や入試本番にこのノートを持ち込んで、特に苦手な箇所について確認しておくだけでもかなり安心感があるのではないでしょうか。
「長文問題は英文法をマスターしてから」と思っていませんか?
実は、そんなことはありません。
勿論、英文法の知識があまりないうちはそもそも長文を「読める」という段階ですらありませんので、
基礎内容の知識は必要不可欠です。
しかし、「英文法をマスターする」ということにそもそも明確な定義やゴールは設置しにくいものです。
我々日本人でも、日本語の文法を誤ってしまうことはあります。
「マスターしてから」と思って長文を後回しにしていると、対策が疎かなまま入試本番を迎えることになってしまいます。
実は、長文は英文法の勉強に非常に有用なのです。
「英文法の勉強」と言われて想像するのはどんなものでしょうか?
1文の中に空欄があってそれを埋める、並べ替えをして1文を完成させる、1文の中の間違いを探す…
などと、どうしても「1文」単位で考えてしまいがちです。
1文単位での問題演習も勿論大事ですが、入試問題ではそういった英文法の一問一答形式よりも長文問題の方が遥かに高いウェイトを占めます。
つまり、「長い英文を読める」ようになることは入試を乗り越える上での必須条件です。
また、文法問題として出題される文はだいたいパターンが決まっていますが、長文問題で出題される文章のパターンは様々です。
長文は、様々な文法の集合体です(勿論、単語や熟語、語法の知識も必要ですが)。
なので、かなり効率的に多くの英文法事項を学べます。
それでわからないことがあったら確認すればいいのです。
問題集だけで文法を勉強していると、どうしても
「この問題は答えを覚えてしまった」「この章だからおそらくこれが答えだろう」
のように、明確な根拠なく解けてしまう問題が出てくるかもしれません。
【4 問題集には〇〇を書き込もう】で「問題集は3周程度が目安」としたのは、これが理由です。
勿論、この問題の解決として過去問など「初めて見る問題で、かつ章分けされていないもの」に取り組むことは必須です。
しかし、長文を読んでみることもまた同じくらい重要なことです。
ここで大切なのは、「問題を解くだけが長文ではない」ということです。
先程述べたように、長文は様々な文法の集合体です。
それらの英文法を理解できているかどうか簡単に測ることができるのは、やはり和訳です。
長文問題集や過去問、模試で「全文訳が載っているもの」を使いましょう。
長文問題集ならば、おススメは『英語長文レベル別問題集』(東進ブックス)です。
こちらはその名の通り1~6までのレベル毎に1冊ずつ分けられていて、1~2は中学内容が多く語数も少なめです。
センター試験のレベルは4~5あたりなので、1~2は飛ばして3から始める人も多いです。
分からない単語は調べる、もしくは空欄にしておいてもよいので、まずは読んで訳してみましょう。
その後全文訳を読み、自分の訳と照らし合わせて文法レベルで間違っている箇所は参考書で調べます。
実際にセンター試験の過去問題から少し引用してみます。
では、この1文目を訳してみます。以下、訳すプロセスを記載するので、「まだそこまでは…」という人は、下の===まで飛ばして読んで頂いて構いません。
========================================
長文では、ざっくりでいいのでなるべくSVOC分けをするとわかりやすくなります。
今は見やすさを重視して下記の色分けを使いますが、実際は単語に下線を引いて書き込むなどといった方法が簡単です。
まずこれは、「Historyはusにteach=歴史は我々に教える」という部分があることがわかります。
「我々に教える」となると「何を?」という教える内容の記述が必要となってきます。
そこでthatに注目するのですが、thatは大きく分けて「①あれ ②~ということ を表す接続詞 ③関係代名詞」の3つの用法があります。
そのうちどれが今使われているのかを判断するために、thatの後ろを見てみます。
すると、have changedという動詞があるため、どうやらSV関係が成立していることがわかります。
よって、可能性としては②、もしくは③でかつ関係代名詞の目的格というところまで絞れます。
ここで関係代名詞の目的格の用法を思い出してみると、例えば This is the pen that I bought in Paris. のように、
関係代名詞以降の動詞が他動詞かつ「何を、何に」目的語の部分が抜けており、その目的語は関係代名詞の前にある名詞である
つまり先行詞が存在すること が挙げられます。
今ここではhave changedがthat以降の動詞ですが、「変わった」には「何を、何に」という名詞が必要ないため、③の可能性は消えます。
よってこのthatは②の「~ということ」を表すものであることがわかります。
つまり、「歴史は我々にthat以下ということを教える」という意味の文章だと断定できるわけです。
また、how以降ですが、howは大きく分けて「①疑問詞 ②どのくらい ③どうやって」の3つの用法があります。
①疑問詞 の場合、howの後は動詞がきて最後に?を伴うので、この可能性は消えます。
②どのくらい の場合、how muchなどhowのあとに「どのくらい~か」を表す形容詞や副詞を伴うので、この可能性も消えます。
③どうやって の場合、howの後はS、Vと並びます。よって今はこの用法が使われているとわかります。
すると、how以降は「どうやって我々が世界を理解するか」という意味になり、
結論としてこの1文目は、「技術と結びつけられた発見の数々が、我々が世界をどう理解するかを変えてきたのだということを歴史は教えてくれる。」という意味の文章だったことがわかります。
同様に2文目以降も訳してみると、
このようになります。
========================================
ざっと目を通すだけでも、to不定詞、現在完了、助動詞can、「~ということ」のthat、「どうやって」のhowといった文法事項が使われていることがわかります。
to, have, that, howについては用法が複数あるので、今どれが使われているのかも考えなくてはなりません。
このプロセスこそが、英文法の勉強において非常に重要なのです。
例えばtoを「~へ」と訳してしまった場合、toの用法について復習する必要があります。
たとえ問題集では「to不定詞は得意」と思っていても、このように他の用法と勘違いしてしまうこともあります。
このように自覚していなかった苦手のポイントを発見できることが、長文を読むことの最大の効果の1つです。
1つ1つの文法事項が何なのかを特定するスピードが上がることで、長文全体を読むスピードも上がります。
また、もともと苦手な箇所であっても、長文で何回も目にすることで「なんとなく」形がわかってくる、ということもあります。
勿論、根拠を持って「これはこう」と言えることは必須ではありますが、この「なんとなく」も英語においては無視できない要素です。
例えば、“Let it go”という文字列を目にした、あるいは音を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
これは、映画『アナと雪の女王』の有名な劇中歌のタイトルです。
Let it goは、いわゆる原形不定詞というものです。
よく考えれば、itは単数なのに動詞はgoesではなくgoと原形になっていますね。
これは、let O 動詞の原形で「Oに動詞させる」という意味を表す文法事項だからです。
このように、「見覚え/聞き覚えがある」ということも英語を理解する上で役に立つことがあるのです。
早いうちに長文を読むことは、新たな発見や見覚えの累積ができるという点でかなり効果的と言えるでしょう。
・中学内容の復習は大切
・文法問題は4択問題から
・問題集は日付をナンバリングして3周程度
・間違ったところだけのノートを作る
・長文を読んで訳すだけでも英文法の勉強になる