英語を勉強する上で、「知覚動詞」を集中して勉強したことがある人は多くはないのではないでしょうか?
そもそも知覚動詞とは何かと言うと、簡潔に言えば「5感で感じ取った情報を伝えるために使う動詞」です。
5感は、「視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚」です。
それぞれ当てはまる英語を考えると、
視覚 : see, watch, look at
聴覚 : hear, listen to
触覚 : feel
味覚 : taste
嗅覚 : smell
などとなります。
基本的には、この9語を覚えておけば大丈夫です。
他にも、notice (気付く)、 perceive (気付く、知覚する) もありますが、あまり知覚動詞としては意識しなくてもいいです。
この知覚動詞ですが、あまり意識されないにもかかわらず非常に間違いの多いところなのです。
中でも、「進行形」「受動態」「知覚動詞+O」の3つは英語が得意な人でもよく間違ってしまうポイントです。
今回は、そんな間違いの多いポイントに的を絞ってまとめてみました。
知覚動詞で間違いが多いポイントその1、進行形です。
「進行形にできるのは動作動詞のみ」ということは知っていましたか?
進行形は「その時点での動作の進行」を表すため、状態動詞は進行形にできないのです。
では何が動作動詞かというと、簡単な見分け方は「すぐに止められるかどうか」です。
例えば、readは動作動詞です。
「本を読む」という動作は、本を閉じればいいのですぐに止められます。
では、knowはどうでしょうか。
「知っている」というのは状態です。
何か/誰かについて「知っている」状態をすぐに止めることはできません。
これが状態動詞です。
よって、 I am knowing you. は間違いで、 I know you. としなければなりません。
実は、知覚動詞の中にも状態動詞と同じく進行形にできないものがあります。
それは、
・see(見える)
・hear(聞こえる)
・taste(味がする)
・smell(においがする)
の4つです。
( )の中をよく見て下さい。
特にsee, hearは「見る、聞く」と覚えていた人も多いのではないでしょうか?
それこそが、進行形と知覚動詞が絡んだ時に間違いが起きてしまう最大の理由です。
( )の中にあるように、これら4つの動詞は動作ではありません。
見える、聞こえる、味がする、においがする、は「自分の意思とは無関係にそうなること」ですよね。
例えば、 I hear funny noise. という文があったとします。
これは「変な音が聞こえる」という意味ですが、これをすぐ止めることはできるでしょうか?
答えはNoです。「聞こえる」は自分の意思とは無関係だからです。
同じように、 You see Mt. Fuji from this window. も「見える」なので自分の意思とは無関係です。
もし「見える」状態をすぐに止めたいのならば、富士山か窓かどちらかを消滅させなくてはなりません。流石に非現実的ですね。
状態動詞だけでなく、自分の意思とは無関係にそうなる知覚動詞も進行形にはできません。
「見る」「聞く」で進行形を作りたい場合、watch, look at, listen toを使いましょう。
同じ理由で、taste(味がする)、smell(においがする)も自分の意思とは無関係なので進行形にはできません。
しかし、この2つの動詞は例外です。
taste, smellにはそれぞれ別の意味もあるからです。
taste : 味わう
smell : においをかぐ
この意味で使われる場合は動作なので、進行形にできます。
ワインのテイスティングもこちらの意味ですね。
「知覚動詞と状態動詞は進行形にできない」という覚え方をしていた人もいるかと思いますが、
知覚動詞でも自分の意思と関係がある動作ならば進行形にできます。
対策としては、それぞれの知覚動詞が表す意味をしっかり覚えておくこと。
文法問題などで進行形と知覚動詞が絡んでいる場合は、それが「自分の意思と関係がある動作なのかどうか」に注意しましょう。
意外と多くの人が知らないのが、この知覚動詞の受動態です。
受動態は普通、
能動 : The trees surround my house.
↓
受動 : My house is surrounded by the trees.
のように、能動態の際は目的語だったものを主語にします。
しかし、知覚動詞の目的語となるとちょっと難しいですよね。
実は知覚動詞は全てが受動態になれるわけではありません。
受動態になれる知覚動詞は、seeとhearです。
作り方は「be seen/heard +to不定詞」、意味は、「~するのを見られる/聞かれる」です。
to不定詞を使うというところが意外なので、よく覚えておきましょう。
例えば、 The boy was seen to fall down by me. は「その男の子は私に転ぶのを見られた」という意味です。
知覚動詞でも、watch, look at, listen to, feel, noticeは受動態にしないということも覚えておきましょう。
3つのポイントの最後、知覚動詞+Oですが、Oの後に動詞の原形がくるのか分詞がくるのかで意味が変わってきます。
ここでは、動詞の原形がくる場合についてまとめていきます。
知覚動詞+O+動詞の原形で、「Oが~するのを…する」という意味になります。
例えば、 I felt my house shake. は「私は家が揺れるのを感じた」です。
【2 知覚動詞の受動態】で挙げたThe boy was seen to fall down. ですが、これを能動態にすると
I saw the boy fall down. (私はその男の子が転ぶのを見た)です。
ここで気を付けたいこととしては、知覚動詞+O+動詞の原形で表されるのは、「その動作が始まってから終わるまでの一部始終を知覚する」ということです。
このことは、次に紹介する知覚動詞+O+分詞との大きな違いなので、頭に留めておいて下さい。
知覚動詞+Oの2つ目です。
知覚動詞+O+分詞で、「Oが~しているのを…する/Oが~されるのを…する」という意味になります。
ここで気を付けたいのは、能動なのか受動なのかということです。
分詞の主体はOです。
Oが能動的に「する」場合 : 現在分詞(~ing形)
Oが受動的に「される」場合 : 過去分詞
このような決まりがあります。
例えば、「私は人混みの中で自分の名前が呼ばれるのを聞いた」という文があったとします。
この場合の「聞いた」は音楽を聞くように積極的に聞いたわけではなく、
「名前を呼ぶ声が聞こえた」というニュアンスに近いため、listen toではなくhearを使います。
I heard my name
ここまで、つまりSVOはできました。
次に、分詞は現在分詞を使うのか過去分詞を使うのかということを考えていきます。
my nameは無生物なので、能動的に「呼ぶ」ということはありません。
よって、過去分詞を使って受動であることを表します。
すると、
I heard my name called in the crowd.
となります。これが正解です。
同様に、「私は誰かがドアをノックしているのを聞いた」についても考えてみます。
I heard someone
ここまでは先程と同じ理由です。
someoneは人ですし、ドアをノックする主体と考えられるので、現在分詞を使って能動であることを表します。
よって、 I heard someone knocking on the door. となります。
ここで出てくる疑問として、【3 知覚動詞+O+動詞の原形】で紹介した「Oが~するのを…する」と何が違うのか?ということがあります。
確かに、現在分詞を使うと「~しているのを…」なので、大差はないように見えます。
しかし、この「~している」という要素が実は重要なのです。
知覚動詞+O+分詞で表されるのは、「その動作の一時点を知覚する」ということです。
知覚動詞+O+動詞の原形では、「その動作が始まってから終わるまでの一部始終を知覚する」でした。
ここが動詞の原形を使うか分詞を使うかによって生じる大きな違いです。
わかりやすく2つを並べてみると、
I saw a cat cross the street. (私は猫が通りを横切るのを見た)
→知覚動詞+O+動詞の原形なので、猫が通りを横切り始めてから終わるまでの一部始終を見た
I saw a cat crossing the street. (私は猫が通りを横切っているのを見た)
→知覚動詞+O+分詞なので、猫が通りを横切っているある一時点を見た
このような違いがあります。
知覚動詞+Oの2つの使い方は混同しやすいので注意しましょう。
・see, hearは進行形にできないのでwatch/look at, listen toで代用。
→taste, smellは「味わう」「においをかぐ」なら進行形にできる。
・知覚動詞の受動態はbe seen/heard +to不定詞
・知覚動詞+O+動詞の原形は「動作の一部始終を知覚」
・知覚動詞+O+分詞は「動作の一時点を知覚」、能動なら現在分詞、受動なら過去分詞