2019年01月15日更新
高校数学『剰余の定理』とは? 小学生の割り算からわかりやすく解説!
高校数学の剰余の定理と使い方をわかりやすく解説。小学生の割り算に登場した(割る数)、(割られる数)、そして(商)と(余り)の関係から定理を説明します。剰余の定理から派生した因数定理、そして組立除法を忘れてしまったときにも使える因数分解のやり方をマスターしましょう。

突然ですが、問題から入ります。

次の割り算の余りを求められますでしょうか?


【例題1】

①\(532÷22\)

②\((x^{3}+5x^{2}-2x+3)\)÷\((x-1)\)


どちらが簡単でしたでしょうか。


解答は①が4、②が7となります。


筆算で解く場合、おそらく①の方が早く解けるのではないでしょうか。


しかし、ある定理を知っていると②は暗算で余りを出すことができます。

それが『剰余の定理』です。


剰余の定理は、高校数学の高次方程式の因数分解で非常に役立つ定理になります。

本記事では、練習問題も掲載していますので、一緒に見ていきましょう!

剰余の定理とは?

剰余の定理とは、「関数\(P(x)\)を1次式\((x-a)\)で割ったときの余りは\(P(a)\)となる」というものです。


割る式が\((ax+b)\)のときは、余りは\(P(-a)\)となります。


両方とも、


\(x-a=0\)


\(ax+b=0\)


とおいたときの解を、\(P(x)\)に代入します。


なぜ、このような簡単な方法で余りが求められるのでしょうか?


この定理の証明を以下の通りです。


\(P(x)\)を1次式\((x-a)\)で割ったときの商を\(Q(x)\)、余りを\(R\)とすると、


\(P(x)=(x-a)Q(x)+R\)…①


と表すことができる。


ここで、両辺の\(x\)に\(a\)を代入すると、


\(P(x)=(a-a)Q(a)+R\)


\(P(x)=0×Q(a)+R\)


よって、\(P(x)=R\)が成り立つ。(終)


非常に短い証明ですね。


ポイントは3つあります。


1つ目は、割り算では、


(割られる数)=(割る数)×商+余り


の関係が成り立つこと。


【例題1―①】では、


532=22×24+4


でした。


2つ目は、式①で\(x=a\)とおくと\((a-a)×Q(a)=0\)となるので、\(Q(x)\)がどのような式であっても無視できること。


そして3つ目は、割られる式の\(P(x)\)や商の\(Q(x)\)は求める必要がないことです。


非常に使いやすい公式なので、基本問題ならサクサク解くことができます。


しかし式の成り立ちを知らない場合、応用問題でつまづいてしまうので、証明の内容や公式の形も覚えておいてください。

それでは問題を通じて理解を深めていきましょう。


【問題1】


次の値を求めなさい。


①\((4x^{3}-3x^{2}+2x-1)\)を\((x-2)\)で割ったときの余り


②\((8x^{2}-5x+4)\)を\((x-1)\)で割ったときの余り



【問題1の解答】


①\(x-2=0\)とすると、\(x=2\)。


これを3次式に代入すると、


\(4×23-3×22+2×2-1=32-12+4-1\)


        \( =23\)


②同様にして、\(x-1=0\)より\(x=3\)を代入すると、


\(8×32-5×3+4=72-15+4\)


      \(=61\)


【問題1】では余りが定数になりました。


それでは次の問題はいかがでしょうか?

余りは何次式?

【問題2】

\(x^{2018}\)\(x^{2}-1\)で割ったときの余りを求めなさい。


\(x^{2018}\)の指数は誤植ではありません(笑)。


この問題のポイントは、「整式を2次式で割ったときの余りをどのように定めるか?」ということです。


例えば【問題1―①】では商が\(4x^{2}+5x+12\)となり、

 \(4x^{3}-3x^{2}+2x-1=(x-2)(4x^{2}+5x+12)+23\)

と表すことができます。

余りは定数項でしたね。


しかし\(4x^{3}-3x^{2}+2x-1\)を\(x^{2}+2x+1\)という2次式で割った場合は、

 \(4x^{3}-3x^{2}+2x-1=(x^{2}+2x+1)(4x-11)+24-1\)

となり、余りはxの1次式となります。

1次式ではなく、余りが定数項や0になることもありますが、2次以上の式になることはありません(まだ割り算ができてしまうので)。

つまり、整式を2次式で割ったときの余りは、a、bを実数として「ax+b」とおくことができるわけですね。

一般的に、ある整式をn次式で割った場合、余りの次数は(n-1)次以下となります。

このことを踏まえて解いていきましょう。


【問題2の解答】

\(x^{2018}\)を\(x^{2}-1\)で割ったときの商をQ(x)とする。

余りは1次以下の整式なので、それをax+b(a、bは実数)とおくと剰余の定理より、

 \(x^{2018}=(x^{2}-1)Q(x)+ax+b\)

 \(x^{2018}=(x+1)(x-1)Q(x)+ax+b\)…①

①で、x=-1とおくと、

 \((-1)^{2018}=(-1+1)(-1-1)Q(-1)-a+b\)

 \(1=-a+b\)…②

①で、x=1とおくと、

 \(1^{2018}=(1+1)(1-1)Q(-1)+a+b\)

 \(1=a+b\)…③

②と③を連立させると、

 \(a=0\)、\(b=1\)

ゆえに余りは1。


割る式は2次式ですが因数分解することができます。

そしてその「2次式=0」としたときの解を、①式に代入して式の値を0にし、Q(x)を消してしまうのです。

残った式は、単なる1次の連立方程式にすぎません。

ただ、aとbを求めたあと、余りの式ax+bに代入して最後の答えを出すことを忘れないでください。


【問題3】

ある式を\((x-3)\)で割ったときの余りは3、\((x+2)\)で割ったときの余りが-1となる。

このある式を(\(x^{2}-x-6)\)で割ったときの余りを求めなさい。


今回の問題には「ある式」が何なのか書いてありませんが、剰余の定理ではそれを求める必要はありません。

2次式で割るときの余りは【問題2】と同様です。


【問題3の解答】

ある式を\(P(x)\)とし、\((x-3)\)で割ったときの商を\(Q(x)\)、\((x+2)\)で割ったときの商を\(S(x)\)とおくと、剰余の定理より、


\(P(x)=(x-3)Q(x)+3


P(x)=(x+2)S(x)-1\)


が成り立つ。


よって、


\(P(3)=3\)…①


\(P(-2)=-1\)…②


ここで、\(P(x)\)を\((x^{2}-x-6)\)で割ったときの商を\(T(x)\)、余りを\(ax+b\)(a、bは実数)とおくと剰余の定理より、


\(P(x)=(x^{2}-x-6)T(x)+ax+b\)


となる。


\((x^{2}-x-6)\)を因数分解すると、


\(P(x)=(x-3)(x+2)T(x)+ax+b\)…③


ここで①と③より、


\(P(3)=(3-3)(3+2)T(3)+3a+b=3\)


よって、\(3a+b=3\)…④


②と③より、


\(P(-2)=(-2-3)(-2+2)T(-2)-2a+b=-1\)


よって、\(-2a+b=-1\)…⑤


最後は④と⑤を連立させて、


\(a=\frac{4}{5},b=\frac{3}{5}\)


と求められるので、余りは\(\frac{4}{5}x+\frac{3}{5}\)。




\(T(x)\)がどのような式であっても、\(x=3\)と\(x=-2\)を代入することで\((x-3)(x+2)\)の値が0になるのがポイントです。

因数定理とは?

剰余の定理を使えば、高次式の割り算の余りを簡単に求めることができました。

それでは次の問題はどのように解くでしょうか?


【例題2】

3次方程式\(x^{3}+2x^{2}-5x-6=0\)を解きなさい。


高次方程式の因数分解は、2次方程式までなら中学数学の基本公式やたすき掛けでなんとかなります。

3次方程式にも基本公式がありますが、この問題に使うのは難しそうですね。

そこでまた、剰余の定理の出番なのです。


高次方程式を解くことはすなわち、少なくとも1つ、\(x=a\)となるような解を持つという意味です。

そして\(x=a\)を解に持つのなら、

\(x^{3}+2x^{2}-5x-6=(x-a)\)×(xの2次式)

の形に因数分解できるはずです。

右辺の(xの2次式)の部分は、さらに因数分解できることもあるでしょう。


さて、この式の右辺に「+R」をくっつけると、

\(x^{3}+2x^{2}-5x-6=(x-a)\)×(xの2次式)+R

どこかで見たような式ですね?


そうです。

剰余の定理の、

\(P(x)=(x-a)Q(x)+R\)

とそっくりなのです。

つまり高次方程式の因数分解は、剰余の定理の公式で、R(余り)=0の形なのですね。

これを『因数定理』といい、具体的には「多項式\(P(x)\)が\((x-a)\)で割り切れる↔\(P(a)=0\)」というものです。


証明は下記のとおりです。


①「\(P(x)\)が\((x-a)\)で割り切れる→\(P(a)=0\)」ことの証明

\(P(x)\)を\((x-a)\)で割ったときの商を\(Q(x)\)とすると剰余の定理より、

\(P(x)=(x-a)Q(x)+R\)

割り切れるのならば\(R=0\)なので、

\(P(x)=(x-a)Q(x)\)

ここで\(x=a\)とおくと、

\(P(a)=(a-a)Q(a)\)

\(=0×Q(a)\)

\(=0\)


②「\(P(a)=0\)→\(P(x)\)が\((x-a)\)で割り切れる」ことの証明

剰余の定理より、

\(P(x)=(x-a)Q(x)+R\)

両辺の\(x=a\)とすると、

\(P(a)=(a-a)Q(a)+R\)

\(=R\)

\(P(a)=0\)より\(R=0\)

よって成り立つ。


剰余の定理の証明と少し似ていますね。


例題では、\(P(x)=x^{3}+2x^{2}-5x-6\)とおくと因数定理から、

\(P(a)=a^{3}+2a^{2}-5a-6=0\)

となるような\(a\)が存在します。

\(a=1\)、\(a=-1\)、\(a=2\)、\(a=-2\)…と絶対値の小さい整数から\(P(x)\)に代入していって、\(P(a)=0\)になるようなものを探していきましょう。

そうすると、\(a=-1\)のとき、

\(P(-1)=(-1)^{3}+2×(-1)^{2}-5×(-1)-6=0\)

となり、\(P(x)\)は\((x+1)\)で割り切れることがわかります。

よって、

\(P(x)=x^{3}+2x^{2}-5x-6=(x+1)×\)(\(x\)の2次式)

とおくことができます。

因数分解は係数比較で!

さて、右辺の(\(x\)の2次式)の因数分解は、\(x=-1\)という解を基準に組立除法を使うか、筆算で\(x^{3}+2x^{2}-5x-6\)を\(x+1\)で割るという方法が一般的ですね。

ただ、組立除法は書き方が特殊で忘れやすく、筆算も計算量が増えてしまいがちです。

そこでオススメなのが「係数比較による因数分解」です。


\(P(x)\)が\((x+1)\)で割り切れることから、

 \(x^{3}+2x^{2}-5x-6=(x+1)\)×(\(x\)の2次式)

の形に因数分解できるところまではわかりました。

ここで、b、c、dを定数として、

 \(x^{3}+2x^{2}-5x-6=(x+1)×(bx^{2}+cx+d)\)…①

とおきます。

①の右辺を展開すると、

 \(x^{3}+2x^{2}-5x-6=bx^{3}+bx^{2}+cx^{2}+cx+dx+d\)

      \(=bx^{3}+(b+c)x^{2}+(c+d)x+d\)

となります。

ここで両辺の\(x^{3}\)、\(x^{2}\)、\(x\)の係数、そして定数項を比較していくと、

 \(x^{3}\)は(右辺)=1、(左辺)=b

 \(x^{2}\)は(右辺)=2、(左辺)=b+c

 \(x\)は(右辺)=-5、(左辺)=c+d

 定数項は(右辺)=-6、(左辺)=d

よってこれらを連立していくと、

 \(1=b\)

 \(2=b+c\)

 \(-5=c+d\)

 \(-6=d\)

ゆえに

 \(b=1\)、\(c=1\)、\(d=-6\)

となり、

 \(x^{3}+2x^{2}-5x-6=(x+1)(x^{2}+x-6)\)

となることがわかります。

あとはさらに右辺の因数分解を続けて、

 \(x^{3}+2x^{2}-5x-6=(x+1)(x+3)(x-2)\)

となり、

 \(x=-1\)、\(x=-3\)、\(x=2\)

が解となります。

右辺の2次式の係数は、慣れれば①の段階で係数がわかるようになりますので、下の問題などで訓練を重ねてください。

ちなみに本記事で何度も出てくる「因数」ですが、ある項や式を掛け算に直したとき、その一つ一つの項や式を表す言葉です。

\(48=2^{4}×3\)といった中学数学の素因数分解は、ある数を素数の積で表すものでした。

この場合は右辺の2と3が因数となります。


それでは因数定理と係数比較の因数分解を使いこなしていきましょう。


【問題4】

3次方程式\(x^{3}+3x^{2}-10x-24=0\)を解きなさい。


例題よりも係数が大きくなっていますが、因数定理→係数比較の流れは同じです。


【問題4の解答】

\(x=-2\)で式の値は\(0\)になることから因数定理より、

 \(x^{3}+3x^{2}-10x-24=(x+2)(bx^{2}+cx+d)\)…①

両辺の\(x^{3}\)を含む項と定数項を比較すると、

 \(x^{3}=bx^{3}\)

\(-24=2d\)

よって\(b=1\)、\(d=-12\)

これを①に代入すると、

 \(x^{3}+3x^{2}-10x-24=(x+2)×(x^{2}+cx-12)\)…②

両辺の\(x^{2}\)を含む項を比較すると、

 \(3x^{2}=cx^{2}+2x^{2}\)

 \(3=c+2\)

\(c=1\)

これを②に代入すると、

 \(x^{3}+3x^{2}-10x-24=(x+2)(x^{2}+x-12)\)

       \(=(x+2)(x+4)(x-3)\)

ゆえに解は、\(x=-2\)、\(x=-4\)、\(x=3\)


「因数定理→係数比較」の流れはつかんできたでしょうか?

それでは最後の問題です。


【問題5】

\(x\)の3次式\(2x^{3}+ax^{2}+bx-24\)が\((x-2)^{2}\)で割り切れるとき、\(a\)、\(b)の値を求めなさい。


「割り切れる」という表現から因数定理を予想させますが…


【問題5の解答】

3次式\(2x^{3}+ax^{2}+bx-24\)で割ったときの商は\(cx+d\)(c、dは実数)とおくことができる。

よって、

 \(2x^{3}+ax^{2}+bx-24=(x-2)^{2}(cx+d)\)

        \(=(x^2-4x+4)(cx+d)\)

        \(=cx^{3}+(-4c+d)x^{2}+(4c-4d)x+4d\)

両辺の係数を比較すると、

 \(x^{3}\)は(右辺)=2、(左辺)=c…①

 \(x^{2}\)は(右辺)=a、(左辺)=-4c+d…②

 \(x\)は(右辺)=b、(左辺)=4c-4d…③

 定数項は(右辺)=-24、(左辺)=4d…④

①と④より、\(c=2\)、\(d=-6\)

これらを②と③に代入して、\(a=-14\)、\(b=32\)


いかがでしたでしょうか?

「割り切れる」という表現から因数定理を使うと、元の3次式に\(x=2\)を代入して、

 \(2×2^{3}+a×2^{2}+b×2-24=0\)

 \(16+4a+2b-24=0\)

 \(4a+2b=8\)

 \(2a+b=4\)

ここまでは出せるのですが、\(c\)と\(d\)の手がかりが見つかりません。

因数定理だけでは足りないというわけですね。

このようなパターンもあることを覚えておきましょう。


剰余の定理、因数定理、そして係数比較による因数分解。

その内容をしっかり理解して、さらに数学を好きになってください(笑)!

この記事の執筆者
スタモ編集部
最高の学習をもっと身近に、どこでも。スタモ編集部は、大学受験や日々の勉強に役立つ記事を発信しています。予備校講師や塾講師の経験のある東大、京大、早慶の卒業者メンバーが中心に、どこよりも詳しく、どこよりも丁寧な内容をお届けいたします。
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