2019年01月15日更新
【部分分数分解】5つの公式・計算方法をわかりやすく解説!問題付
部分分数分解は教科書であまり大きく扱われない計算方法ですが、大学入試では数列や積分の問題でたびたび出てきます。この記事では部分分数分解の5つの公式から問題の解き方までわかりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてください!

部分分数分解って?

部分分数分解とは「多項式の積が分母である1つの分数を複数の分数に分けてあらわすこと」を指します。


言葉だけだと分かりづらいと思うので、次の例をご覧ください。


【部分分数分解】

$$\begin{align}\frac{1}{x(x+2)}=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{x}-\frac{1}{x+2}\right)\end{align}$$

左辺の分母はxと(x+2)の積でしたが、部分分数分解によって分母がxの分数と(x+2)の分数に分かれていますね。


このように分数を分けることによって、部分分数分解は多項式が分母となっている分数を計算しやすくしているんです。


ちなみにこの等式の左辺と右辺を入れ替えると、部分分数分解は通分の逆のことをやっていることが分かります。


【通分】

$$\begin{align}\frac{1}{2}\left(\frac{1}{x}-\frac{1}{x+2}\right)=\frac{1}{x(x+2)}\end{align}$$

部分分数分解の5つの公式

部分分数分解の公式は5つあります。

公式は部分分数分解をスピーディに行うために欠かせないものなので、まずは1つ1つ形を覚えてください。

公式1

まずは一番分かりやすい公式から。

この公式が使える分数かどうか見分けるポイントは以下の2点です。


【公式1が使える分数の特徴】

①分母が一次式どうしの積

②分子が定数


【例】

$$\begin{align}\frac{1}{(x+5)(x+3)},\frac{1}{(x-1)(x+3)},\frac{1}{(x+1)(x-2)},\frac{1}{(x-2)(x-5)}\end{align}$$

公式2

公式1は公式2においてa=c=1、p=0の場合の特殊パターンです。


【公式2が使える分数の特徴】

①分母が一次式どうしの積

②分子が一次式


【例】

$$\begin{align}\frac{3x+1}{(2x+1)(x+4)},\frac{x-1}{(2x-3)(3x+2)},\frac{2x+5}{(4x-3)(3x+2)}\end{align}$$

公式3

公式3は部分分数分解した後の分数の分母に注意してください。


【公式3が使える分数の特徴】

①分母が二乗の式

②分子が一次式


【例】

$$\begin{align}\frac{x+2}{(2x+1)^2},\frac{x-1}{(2x-3)^2},\frac{2x-5}{(4x+1)^2}\end{align}$$

公式4

公式4は部分分数分解後に分数が3つに分かれます。

公式3に一次式の分数が加わるだけなので、難しく考える必要はありません。


【公式4が使える分数の特徴】

①分母が二乗の式と一次式の積

②分子が定数


【例】

$$\begin{align}\frac{1}{(2x+1)^2(3x+2)},\frac{1}{(4x-1)^2(x-1)},\frac{1}{(x+3)(x-2)^2}\end{align}$$

公式5

公式5が一番複雑なパターンです。

部分分数分解後、分母が二次式となっている方の分数の分子が一次式となるので注意してください。


【公式5が使える分数の特徴】

①分母が一次式と二次式の積

②分子が二次式


【例】

$$\begin{align}\frac{x^2+5x+2}{(2x+1)(4x^2+3x+1)},\frac{2x^2-3x-1}{(3x-1)(x^2+2x+1)}\end{align}$$

部分分数分解のやり方(係数比較法、数値代入法)

部分分数分解のやり方は2つ、係数比較法と数値代入法です。


係数比較法は比較的単純な公式1,2,3で、数値代入法は複雑な公式4,5で主に使います。


どちらの方法でもA,B(公式4,5はA,B,C)の値を求めて部分分数分解の式を完成させるのが目標です。

係数比較法

【例題】

次の分数を部分分数分解してください。

$$\begin{align}\frac{1}{(x+1)(x-3)}\end{align}$$

【解き方】

与式は分母が一次式どうしの積、分子が定数なので、公式1に当てはめて等式を作ります。

$$\begin{align}\frac{1}{(x+1)(x-3)}=\frac{A}{(x+1)}+\frac{B}{(x-3)}\end{align}$$

次に、右辺を通分します。

$$\begin{align}(右辺)=\frac{(x-3)A+(x+1)B}{(x+1)(x-3)}\end{align}$$

さらに、分子を整理します。

$$\begin{align}=\frac{(A+B)x+(-3A+B)}{(x+1)(x-3)}\end{align}$$

これで左辺と右辺の分子で係数比較する準備が整いました。

$$\begin{align}\frac{1}{(x+1)(x-3)}=\frac{(A+B)x+(-3A+B)}{(x+1)(x-3)}\end{align}$$

分母は同じなので、分子のxの項と定数項の係数が同じであればこの等式は常に成り立つといえますね。


分子だけの式を書いてみましょう。

$$\begin{align}1=(A+B)x+(-3A+B)\end{align}$$

右辺のxの項の係数が0、定数項が1なので、

$$\begin{align}A+B=0,-3A+B=1より\end{align}$$
$$\begin{align}A=-\frac{1}{4},B=\frac{1}{4}\end{align}$$

A,Bの値がわかったので最初に作った等式に代入します。

$$\begin{align}\frac{1}{(x+1)(x-3)}=\frac{-\frac{1}{4}}{x+1}+\frac{\frac{1}{4}}{x-3}\end{align}$$

最後に分子を整理して…

$$\begin{align} \frac{1}{(x+1)(x-3)}=-\frac{1}{4}\left(\frac{1}{x+1}-\frac{1}{x-3}\right)\end{align}$$

これで部分分数分解の完成です。

数値代入法

【例題】

次の分数を部分分数分解してください。

$$\begin{align}\frac{1}{(2x+1)^2(3x+2)}\end{align}$$

【解き方】

与式は分母が二乗の式と一次式の積、分子が定数なので、公式4に当てはめて等式を作ります。

$$\begin{align}\frac{1}{(2x+1)^2(3x+2)}=\frac{A}{2x+1}+\frac{B}{(2x+1)^2}+\frac{C}{3x+2}\end{align}$$

次は、係数比較法と同じように右辺を通分します。

$$\begin{align}(右辺)=\frac{(2x+1)(3x+2)A+(3x+2)B+(2x+1)^{2}C}{(2x+1)^2(3x+2)}\end{align}$$

ここで分子を計算して次数が高いものから並べていけば係数比較法となりますが、

数値代入法ではこの時点で分子だけの等式を書き出します。

$$\begin{align}1=(2x+1)(3x+2)A+(3x+2)B+(2x+1)^{2}C\end{align}$$

A,B,Cの値を求めるためにはどうすればいいかわかりますか?


xに適当な数を代入して、計算しやすくするんです。


ここが数値代入法の重要ポイントですね。

A,B,Cの3つの値を求めるために必要な式は3つなの、xに3つの値を代入していきます。

$$\begin{align}x=0を代入⇒ 1=2A+2B+C\end{align}$$
$$\begin{align}x=-\frac{1}{2}を代入⇒ 1=\frac{1}{2}B\end{align}$$
$$\begin{align}x=-\frac{2}{3}を代入⇒ 1=\frac{1}{9}C\end{align}$$
$$\begin{align}∴A=-6,B=2,C=9\end{align}$$

A,B,Cの値がわかったので最初に作った等式に代入します。

$$\begin{align}\frac{1}{(2x+1)^2(3x+2)}=-\frac{6}{2x+1}+\frac{2}{(2x+1)^2}+\frac{9}{3x+2}\end{align}$$

部分分数分解ができました。


xの値はどんな数字を代入してもいいのですが、1つはx=0にして、

あとはA,B,Cのいずれかが消えるように( )内の式が0となるxの値を代入すると計算しやすくなります。

部分分数分解を使って数列の問題を解いてみよう

部分分数分解を使う数列の問題は大学入試でたびたび出ます。


しかし、問題では親切に「部分分数分解を使って…」とは書いていないので、問題の特徴を覚えておかなければ何にもできずに大問をまるまる一個落としかねません。


ここでは部分分数分解を使う数列の代表的な問題の解き方を解説していくので、ぜひ覚えておいてください!

例題1

$$\begin{align}一般項 a_{n}=\frac{1}{n(n+1)}の数列\{a_{n}\}の和\sum_{k=1}^na_{k}を求めてください。 (n:整数) \end{align}$$

【解き方】

一般項は分母が一次式どうしの積、分子が定数なので、公式1で以下のように部分分数分解ができます。

$$\begin{align}a_{n}=\frac{1}{n(n+1)}=\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\end{align}$$

これを用いて和を計算すると、

$$\begin{align}\sum_{k=1}^na_{k}=\sum_{k=1}^n\left(\frac{1}{n}-\frac{1}{n+1}\right)\end{align}$$
$$\begin{align}=\left(1\color{red}{ -\frac{1}{2}}\right)+\left(\color{blue}{ \frac{1}{2}}\color{red}{ -\frac{1}{3}}\right)+\left(\color{blue}{ \frac{1}{3}}\color{red}{ -\frac{1}{3}}\right)+\cdot\cdot\cdot +\left(\color{blue}{ \frac{1}{n}}-\frac{1}{n+1}\right)\end{align}$$

ここで、赤色の分数と青色の分数が打ち消し合うことを利用して式を整理してみます。

$$\begin{align}=1+\left(-\frac{1}{2}+\frac{1}{2}\right)+\left(-\frac{1}{3}+\frac{1}{3}\right)+\cdot\cdot\cdot +\left(-\frac{1}{n}+\frac{1}{n}\right)-\frac{1}{n+1}\end{align}$$
$$\begin{align}=1-\frac{1}{n+1}\end{align}$$
$$\begin{align}=\frac{n}{n+1}\end{align}$$

部分分数分解を使うことで簡単に分数数列の和を求めることができました。


分数数列の問題を解く際は、

①部分分数分解をする

②打ち消し合う部分を見つける

という手順を踏むとラクに計算できますよ!

例題2

次の数列の初項からn項までの和を求めてください。

$$\begin{align}\frac{1}{1\cdot 3},\frac{1}{3\cdot 5},\frac{1}{3\cdot 5},\frac{1}{5\cdot 7}\cdot\cdot\cdot\end{align}$$

【解き方】

今回の問題のような例題1よりも分母の規則性が複雑な数列の問題も部分分数分解を利用できます。


まず、数列の一般項を求めます。

$$\begin{align}一般項をa_{n}とすると\end{align}$$
$$\begin{align}a_{n}=\frac{1}{{1+2(n-1)}{3+2(n-1)}}\end{align}$$
$$\begin{align}=\frac{1}{(2n-1)(2n+1)}\end{align}$$

一般項は分母が一次式どうしの積、分子が定数なので、公式1で以下のように部分分数分解ができます。

$$\begin{align}a_{n}=\frac{1}{(2n-1)(2n+1)}=\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2n-1}-\frac{1}{2n+1}\right)\end{align}$$

これを用いて和を計算すると、

$$\begin{align}\sum_{k=1}^na_{k}=\sum_{k=1}^n\left\{\frac{1}{2}\left(\frac{1}{2k-1}-\frac{1}{2k+1}\right)\right\}\end{align}$$
$$\begin{align}=\frac{1}{2}\left\{\left(1-\frac{1}{3}\right)+\left(\frac{1}{3}-\frac{1}{5}\right)+\left(\frac{1}{5}-\frac{1}{7}\right)+\cdot\cdot\cdot +\left(\frac{1}{2n-3}-\frac{1}{2n-1}\right)+\left(\frac{1}{2n-1}-\frac{1}{2n+1}\right)\right\}\end{align}$$
$$\begin{align}=\frac{1}{2}\left\{1+\left(-\frac{1}{3}+\frac{1}{3}\right)+\left(-\frac{1}{5}+\frac{1}{5}\right)+\left(-\frac{1}{2n-1}+\frac{1}{2n-1}\right)-\frac{1}{2n+1}\right\}\end{align}$$
$$\begin{align}=\frac{1}{2}\left(1-\frac{1}{2n+1}\right)\end{align}$$
$$\begin{align}=\frac{1}{2}\left(\frac{2n}{2n+1}\right)\end{align}$$
$$\begin{align}=\frac{n}{2n+1}\end{align}$$

まとめ

今回、部分分数分解の5つの公式を紹介しましたが、大学入試でよく出るのは公式1,2,3なので、最低でもこの3つだけは覚えておいてくださいね。


また、2002年一橋大学の本試験で出題された部分分数分解の応用問題は有名なので、必ずチェックしておきましょう!



この記事の執筆者
スタモ編集部
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