2019年01月17日更新
【入江力式】微積物理を始めるために数学的準備を進めよう!
【入江力式】高校の微積物理に必要となる数学的知識を勉強しましょう。ここでは、高校の微積物理に必要な数学的知識を詳しく網羅的に説明しています。

物理量①

座標

物理学で最も基本的な物量は、物体の位置を表す座標である。(決して距離ではない)そのため、物体の位置を表すためには、その前に座標軸を設定しなければならない。

 

座標軸を設定するためには、次の2つのことを決める必要がある。


原点の位置

軸の方向(平面であれば、直行する2方向に設定する)

その上で、(1次元の)変位と距離という物理量を次のように定義する。


点Aに対する点Bの変位:XB-XA(Bの座標からAの座標を引いた量)

点Aに対する点Bの距離:|XB-XA|(Bの座標とAの座標の差の絶対値)

 

ゆえに、原点に対する変位は座標と等しい。以上のことから、座標は絶対的な基準点(原点)に対して測られる絶対的物理量(客観的物理量)で、変位や距離は、基準点が毎回コロコロ変わる相対的物理量(主観的物理量)といえる。


日常生活では、自分を主体として話すので、相対的物理量が使われるが、物理学では自然を平等に観測するため、絶対的物理量を用いた方が、計算が楽になるので、相対的物理量は極力用いない。

物理量②

時刻

時を表す時刻に対して、時間という物理量を以下のように定義する。


時刻AとBの時間:|tA-tB|

(Aの時刻とBの時刻の差の絶対値


ゆえに、時刻は絶対的な物理量で、時間は相対的物理量といえる。そのため、時刻を表すためには、時刻0s(時刻原点)を設定しなければならない。

電位

電位(定義は後述)に対して、電位差電圧という物理量を以下のように定義する。


点Aに対する点Bの電位差:B-A

(Bの電位からAの電位を引いた量)

 

点Aと点Bの間の電圧:|B-A|

(Bの電位とAの電位の差の絶対値

ゆえに、電位は絶対的な物理量で、電位差や電圧は相対的物理量といえる。そのため、電位を表すためには、電位0Vの点(電位基準点)を設定しなければならない。


以上をまとめると、


物理量③

物理量は、以下の2種類に分けられる。

スカラー量

方向を持たない量


例:時刻、質量、電気量、距離、速度...

文字表記:α、x…

数値表記:7、-1…

ベクトル量

方向を持ち、空間上の矢印(有効成分)で表せる量


例:座標、速度、加速度、力、電場、地場…

何かしら座標軸を設定し、有効成分をその始点が原点と一致するまで並行移動させたときの、その終点の(x,y)座等をそれぞれ、その有効成分に対応するベクトル量の(x,y)成分という。


つまりベクトル量を成分表記して定量的に計算するには、座標軸を設定しなければならない。また、このようにベクトル量は、成分とよばれる数の羅列で表されるので、ベクトル量で表された方程式は、(平面なら)必ず連立方程式となる。

以上のように、数学では有向線分には成分表記を添えるが、高校物理では、正なら有向線分の長さ(ベクトルの大きさ)を表し、負なら、その絶対値が有向線分の長さを表し、その有向線分を反転させると約束する同軸成分を添えた方がわかりやすい。



この場合も、ベクトルを図のようにそれぞれ座標軸に分解し、それぞれの分解ベクトルの同軸成分を調べることによって成分を求めることができる。


つまりベクトル量は、方向と同軸成分の2要素で決まるといえる。

数値と単位

(物理量)=(数値)×(単位)


物理量は、数値と単位の掛け算であるので、数値も単位も平等に取り扱わなければならない。また物理学における文字には、数値だけではなく、単位も入っている。(x=4cm)


それゆえ、等式の両辺では数値だけではなく、単位も等しくなければならない。a+b=cという式において、aもbもcも全て単位は同じでなければならない。(a、bの単位が異なると、左辺が単位で因数分解できない)


例1、半径10cmの円の面積を求めよ。

10cm×10cm×π=10×10×π×cm×cm=100π㎠←cmが2回掛かっている


例2、時速60kmは秒速何mか?

60km/h=60×km/h=60×1000m/3600s=50/3(m/s)(∵km=1000m、h=3600s)


例3、初速5m/sで、10m/s^2の加速度で投下速度運動する物体が2秒間で進んだ距離lを求めよ。


l=5m/s×2s+1/2×10m/s^2×(2s)^2

=5×2×m/s+1/2×10×4×m/s^2×s^2

=30m

数値

基本単位

 

m(メートル)・・・座標の単位

s(秒)・・・時刻の単位

kg(キログラム)・・・質量の単位

C(クーロン)・・・電気量の単位

K(ケルビン)・・・温度の単位

mol(モル)・・・物理量の単位


物理における単位は、大きく以下の2種類に分けられる。


基本単位・・・全ての物理の単位を、これらの積と商の組み合わせでただ一通りに表せる6つの(上に示した)単位。(ふつうはC(クーロン)に代わりに電流の単位Α(アンペア)を用いるが、ここではわかりやすさのためにCを用いいる)


組立単位・・・基本単位以外の単位で、基本単位の組み合わせで表せる。

(N(ニュートン)、J(ジュール)、Pa(パスカル)など...)

接頭辞

単位の前につける、10のべき乗を表す記号を接頭辞という。主なものは以下。


k(キロ)・・・10^3

M(メガ)・・・10^6

c(センチ)・・・10^-2

m(ミリ)・・・10^-3

μ(マイクロ)・・・10^-6

解の吟味

次元解析(単位による確認)

大学入試の問題が印刷ミスされていた。

定性的検算(数値による検算)

(例題)

右向けを正として質量Mで速度Vの物体Aと質量mで速度-vの物体Bが衝突した、その直後の物体Aの速度を求めよ、ただし、2つの物体の反発係数をeとする。


(答え)

\(v'=(MV-m(eV+ev+v))/(M+m)\)

\(\lim_{M \rightarrow ∞}v'=\lim_{M \rightarrow ∞}(MV-m(eV+ev+v))/(M+m)=V(定性的に正しい)\)


方程式

関数

変数に数値を1つ入れると、それに対して1つの数値を返す等式。(自動販売機みたいなもの)

方程式

未知数の入った数式のこと。

代数方程式

未知数(答え)が数値の方程式のこと。

関数方程式

未知数(答え)が関数の方程式のこと。

※関数には、数値の計算(+,-,×,÷)に加え、微分と積分という計算がある。微分の入った関数方程式を微分方程式という。

微積分

微分

関数の変化量を、それと対応する変数の変化量で割った量のことを、平均変化率といい、以下のように書く。


この変数の変化量(上記の場合t)が限りなく0に近いとき、以下のように書く。

この瞬間の変化量を瞬間の変化量で割る計算のことを微分という。

微分して出てきた新しい関数のことを導関数といい、その変数に定数を代入した変数を微分係数という。なお微分計算は記号の通り、1階微分であれば、分数のように分解して計算できる。(合成関数部分)


つまり、

積分

ある関数に対して、微分するとその関数となる関数を原始関数といい、これを求める計算を以下のように書く。 (x(t)はv(t)の原始関数とする)

この瞬間の変化量を無限に足し合わせる計算のことを積分といい、積分区間の上端が変数の場合、不定積分、変数の場合は、定積分という。


微分計算は手続きが決まっており簡単だが、その逆の積分計算は一定の手続きが存在せず難しい。



偏微分

引数(変数)が1文字以上の関数f(x)を1次関数といい、引数(変数)が2文字以上の関数(f(x,y),f(x,y,x)...)を多変数関数という。


1次関数の微分は、


$$\begin{align}\frac{d}{dx}f(x)\end{align}$$

と表し、これを詳しくは、常微分という。


多変数関数の微分、つまり微分する引数(変数)以外を変数とみなして微分することは、


$$\begin{align}\frac{\partial}{∂x}f(x)\end{align}$$

(∂:ラウンドと読む)

と表し、これを偏微分という。

速度と加速度の定義

 座標(位置)が時刻を変数とした関数としてx(t)と表せる物体の、同じ時刻の速度と加速後という(時刻を変数とした関数の)物理量を以下のように定義する。

これらの関係をまとめると以下のようになる。

ここで一点注意しなければならないことが、小学校や中学校で習った速度の定義式((速さ)=(距離)÷(時間))は、速度が一定という極めて特殊な場合のみただし意識であり、一般的には正しくない。以下でこれを確かめてみる。

等速度運動

速度が一定の運動を、等速度運動という。このとき、

等加速度運動

加速度が一定の運動を等加速度運動という。このときについても、速度と加速度の定義から、時刻を変数とした座標x(t)、速度v(t)を求めてみる。

以上の2式を等加速度運動の公式と呼ぶことにする。


ここで、積分定数をv(0)とx(0)をそれぞれ初速度、初期座標といい、これらが具体的にどのような量になるかは、必ず問題文中に設定されている。


この問題文中の初速度と初期座標を表す記述を初期条件という。なおこの公式は、導出過程を見ればわかる通り、速度、加速度の定義と、微積分の簡単な計算から導かれた物理学において全く本質的ではないが、大学入試問題では、使用頻度が高いので、覚えておいた方がいい。


微分方程式①

求める関数(未知関数)が微分された形で表されている関数方程式を微分方程式という。微分方程式は、求める未知関数が微分されているので、それを元に戻すためには、必ず解く過程で微分されている回数だけ積分計算を行わなければならない。


よって、微分方程式の解の関数hは、元々微分されていた回数だけ、必ず積分定数が現れる。

 

この積分定数を決定するために、微分方程式の問題では、その階数(解に現れる積分定数の数)だけ、方程式とは別に、未知関数について特定の変数の返り値が与えられており、この条件式を初期条件という。


ここで、積分定数が含まれた状態の微分方程式の解を一般解、初期条件から積分定数が求まった状態の微分方程式の最終的な解を特殊解という。


このように、微分方程式を解く過程では何かしら(階数だけ)積分計算をしなければならないが、積分計算とは一定の手続きが存在しなかったので、よって微分方程式を解く一般的な解法は存在しない。(「これを解析的に解けない」という)


そこで、以下ではいくつかの具体的な微分方程式の解を示す。

微分方程式②

0⃣のような微分方程式は簡単な積分計算で解くことができるが、これ以外のほとんどの微分方程式は、高等数学の知識では解けない。


そこで、このような高校物理の理論で頻出する微分方程式の解を以下に示す。

 

高校物理では、この中でも特に、2⃣の単振動型微便方程式の解の関数式は(理由を抜きにして)丸暗記しなければならない。


微分方程式(練習問題)

問、前2ページを参考にして、以下の微分方程式を満たす関数x(t)を求めよ。

この記事の執筆者
駿台予備学校物理科講師。名古屋大学院博士前期課程修了(素粒子宇宙物理学専攻)。最難関大学受験生を対象とした「高3スーパー物理」の講座を担当。 検定教科書などとは全く異なる、原理法則と定義から高校物理の全てを解き明かす、曖昧さの全くない極めて論理的な授業によって、毎年多くの受講生を合格、そして物理好きにしている。 趣味は、ニコニコ動画、ポケモン、人狼ゲーム。好きなゲーム配信者は、もこう先生、高田健志さん、加藤純一さん。駿台大阪校wiki→https://osaka.wicurio.com/index.php?%E5%85%A5%E6%B1%9F%E5%8A%9B
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