2019年01月07日更新
無理数ってなんだろう?基本から頻出問題の解き方まで徹底解説
無理数を扱う証明問題は大学入試でよく出題されます。 しかし、数学がニガテな人にとっては複雑で難しそうな印象で、捨て問題になっているのでないでしょうか? この記事では無理数の基本から証明問題まで分かりやすく解説していくので、ぜひ参考にしてくださいね。

無理数のまえに有理数を理解しよう

無理数は有理数とセットで理解しておく必要があります。


有理数:(整数)÷(整数)の形で表せる実数

無理数:(整数)÷(整数)の形で表せない実数


つまり、無理数は有理数じゃない実数ということですね。


有理数は整数、有限小数、循環小数のいずれかに分類される数です。

それぞれの具体例を確認しておきましょう。

$$\begin{align}整数:10=\frac{10}{1},37=\frac{37}{1}\end{align}$$
$$\begin{align}有限小数:0.5=\frac{1}{2},0.25=\frac{1}{4} \end{align}$$
$$\begin{align}循環小数:0.3333…=\frac{1}{3},0.1111…=\frac{1}{9}\end{align}$$

無理数は整数、有限小数、循環小数いずれにも当てはまりません。

では、どんな数が無理数に分類されるのでしょうか。


次で詳しくみていきたいと思います。

無理数とは…?

無理数は『(整数)÷(整数)の形で表せない実数』と説明しましたが、言いかえると『循環しない無限少数』ともいえます。

特定の規則性がなく、延々と続く小数のことですね。


無理数は次の3つに分類できます。

1.根号(ルート=√)がつく数字

平方根、3乗根、4乗根は実際に計算すると以下のような循環しない無限小数、つまり無理数となります。

$$\begin{align}\sqrt{2}=1.414213562…\end{align}$$
$$\begin{align}\sqrt[3]{2}=1.259921049…\end{align}$$
$$\begin{align}\sqrt[4]{2}=1.189207115…\end{align}$$

ただし、√4=2のようにルートが外せるものは分数で表すことができるので有理数です。

2.対数

$$\begin{align}\log_{2}{3},\log_{2}{5},\log_{3}{5}\end{align}$$

上記のような整数で表せない対数も無理数です。

$$\begin{align}\log_{2}{3}=\frac{\log_{10}{3}}{\log_{10}{2}}=\frac{0.4771}{0.3010}≒1.5850…\end{align}$$
$$\begin{align}\log_{2}{5}=\frac{\log_{10}{5}}{\log_{10}{2}}=\frac{0.6990}{0.3010}≒2.3222…\end{align}$$
$$\begin{align}\log_{3}{5}=\frac{\log_{10}{5}}{\log_{10}{3}}=\frac{0.6990}{0.4771}≒1.4651…\end{align}$$

3.特別な定数

数学には円周率Πや対数で扱うe(ネイピア定数)など、いろいろ特別な定数があります。

これらも実際の値をみると、無理数だということがわかります。

$$\begin{align}π=3.1415926545…\end{align}$$
$$\begin{align}e=2.7182818284…\end{align}$$

【計算・証明】無理数を扱う問題の解き方

無理数を扱う大学入試の頻出問題パターンは大きく分けて以下の2つです。


・無理数の整数部分と小数部分を分離する問題

・無理数であることを証明する問題


それぞれ例を用いて解き方をわかりやすく解説していきます。

大学入試ではどちらも頻出なので、しっかり手順を理解しておきましょう。

無理数の整数部分と小数部分を分離する問題

【例題1】

$$\begin{align}\frac{2}{2-\sqrt{3}} の整数部分をa、小数部分をbとする。aとbの値を求めよ。 \end{align}$$
$$\begin{align}ただし、1.732<\sqrt{3}<1.733であることを用いてよい。\end{align}$$

【解き方&解説】

平方根が分母にあるとき、まずやるべきことは有理化です。


$$\begin{align}\frac{2}{2-\sqrt{3}}=\frac{2(2+\sqrt{3})}{(2-\sqrt{3})(2+\sqrt{3})}=\frac{2(2+\sqrt{3})}{4-3}=2(2+\sqrt{3})\end{align}$$

次に、与えられた√3の範囲を利用して、有理化した式の値の範囲を特定します。

$$\begin{align}1.732<\sqrt{3}<1.733より、 \end{align}$$
$$\begin{align}3.732<2+\sqrt{3}<3.733 \end{align}$$
$$\begin{align}7.462<2(2+\sqrt{3})<7.466 \end{align}$$
$$\begin{align}\bf ∴ a=7\end{align}$$

小数部分bは有理化した式から整数部分aを引けば表せるので

$$\begin{align}b=2(2+\sqrt{3})-a=4+2\sqrt{3}-7=\bf -3+2\sqrt{3}\end{align}$$


いかがでしょうか?

この問題のように無理数の整数部分か小数部分を問われた時は、

無理数=(整数部分)+(小数部分)

と表せることを利用していきましょう。

無理数であることを証明する問題

【例題2】

√2が無理数であることを証明せよ。

【解き方&解説】

無理数であることの証明にはよく背理法を用います。


背理法では、まず命題を否定します。

命題「√2が無理数である」の否定は「√2が無理数ではない」ということです。


無理数ではないということは?

有理数であるということですね。


したがって、√2を有理数であると仮定して命題を証明していきます。

a,bを1以外に公約数を持たない(互いに素な)自然数とするとき

$$\begin{align}\sqrt{2}=\frac{a}{b}\end{align}$$

と表せます。

bを両辺にかけると

$$\begin{align}a=\sqrt{2}\cdot b\end{align}$$

両辺を2乗すると

$$\begin{align}a^{2}=2b^{2}…①\end{align}$$
$$\begin{align}①よりa^{2}は2の倍数であるといえるので、aは2の倍数といえます。\end{align}$$

このことから、aをbではない自然数cで表すと

$$\begin{align}a=2c…②\end{align}$$

となります。

②を①に代入すると

$$\begin{align}(2c)^{2}=2b^{2}\end{align}$$
$$\begin{align}4c^{2}=2b^{2}\end{align}$$
$$\begin{align}∴ b^{2}=2c^{2}…③\end{align}$$
$$\begin{align}③よりb^{2}が2の倍数であるといえるので、bは2の倍数といえます。\end{align}$$

つまり、a,bはともに2の倍数ということです。

よって、a,bが2の公約数を持つことになるので、a,bが互いに素ということに矛盾します。


以上より、√2は有理数であるという仮定は成り立たず、√2は無理数であるということが証明できました。


証明の途中にcが出てきて戸惑ったかもしれませんが、aが2の倍数と証明した流れと同じようにbが2の倍数と証明する必要があったので、cが出てきたわけです。


√3や√5、√7なども同様の流れで証明できます。


「無理数であることを証明するなら背理法を使って有理数でないことを示す」


重要なポイントなので、しっかり覚えておいてくださいね。

【数Ⅱ学習者向け】対数が無理数であることの証明

最後に、ある対数が無理数であることを証明する方法もみておきましょう。

対数を学習済の方は何も見ずにチャレンジしてみてください。

先ほどの証明問題の手順がわかっていれば、簡単に解けますよ。


【問題】

$$\begin{align}\log_{2}{5}が無理数であることを証明せよ。\end{align}$$

【解き方&解説】

無理数であることを証明する方法は先ほど学びましたね。

証明の方法は「背理法を使って、有理数でないことを示す」です。

$$\begin{align}\log_{2}{5}が有理数であると仮定すると\end{align}$$

m,nを1以外に公約数を持たない(互いに素な)自然数とするとき

$$\begin{align}\log_{2}{5}=\frac{n}{m}\end{align}$$

と表せます。

対数の定義より

$$\begin{align}2^{\frac{n}{m}}=5\end{align}$$

両辺をm乗すると

$$\begin{align}2^{n}=3^{m}…☆\end{align}$$

左辺は2×2×2×2…というように2をn回かけた数字になります。

(2のみを因数にもつ)

一方、右辺は3×3×3×3…というように3をm回かけた数字になります。

(3のみを因数にもつ)

つまり、左辺と右辺が等しくなることはありません。

よって、☆は矛盾し、仮定は成り立たないといえるので

$$\begin{align}\log_{2}{5}が無理数であると証明できました。\end{align}$$

まとめ:無理数を扱う証明問題は難関大学合格の鍵!?

本記事では無理数を扱う証明問題を2つ取り上げましたが、難関大学の入試問題では過去に何度も無理数を扱う証明問題が出題されています。


2003年の大阪大学理系後期試験で出題された「円周率Πが無理数であることを証明せよ」という問題は、無理数を扱う証明問題の中でも難問の1つといえるでしょう。


証明問題は受験生の点差が開きやすいので、大学合格を目指すならしっかりマスターしておく必要があります。


無理数であることを証明する方法は数学的帰納法を使うこともありますが、基本は「背理法を使って有理数でないことを示す」手順です。


本記事の内容が理解できたら、ぜひいろんな無理数を扱う証明問題にチャレンジしてみてください!

この記事の執筆者
スタモ編集部
最高の学習をもっと身近に、どこでも。スタモ編集部は、大学受験や日々の勉強に役立つ記事を発信しています。予備校講師や塾講師の経験のある東大、京大、早慶の卒業者メンバーが中心に、どこよりも詳しく、どこよりも丁寧な内容をお届けいたします。
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