2019年02月08日更新
0から分かる2倍角の公式!導出から公式を用いた計算まで徹底解説
この記事では、加法定理から2倍角の公式を導出します。また公式を用いた計算まで例題を解いて確認しましょう!

はじめに

2倍角の定理を知っていますか?


この定理は、三角関数の計算を大幅に簡略化することができる定理で、試験では導出方法や公式を用いた計算が頻出しており、公式の導出の方法から公式を用いた計算まで抑えている必要があります。


公式を覚えていない場合、試験の時間内に問題を解くことが難しくなるため、必ず覚えるようにしましょう!


今回は、2倍角の定理の導出方法、利用方法について例題に触れつつ説明いたします。


2倍角の定理とは

2倍角の定理は、以下の3つの数式を指します。

$$\begin{align}\sin 2\alpha =2\sin \alpha \cos \alpha =2\sin \alpha \cos \alpha\end{align}$$
$$\begin{align}\cos 2\alpha &=\cos ^{2}\alpha -\sin ^{2}\alpha \\ &=2\cos ^{2}\alpha -1 \\ &=1-2\sin ^{2}\alpha\end{align}$$
$$\begin{align}\tan 2\alpha =\dfrac {2\tan \alpha }{1-\tan \alpha }\end{align}$$

三角関数の分野では、2倍角の定理を利用する問題が頻出します。

2倍角の定理は、加法定理から導くことができるので、以下でまず加法定理について復習していきましょう。


加法定理について復習する必要がない方は飛ばしてくださいね。

加法定理の復習と覚え方

この章では、まず2倍角の定理を導くための加法定理について復習していきます。

高校数学で学ぶ、正弦(サイン)定理、余弦(コサイン)定理、正接(タンジェント)定理の3つを思い出しましょう。

正弦・余弦の加法定理

$$\begin{align}\sin \left( \alpha +\beta \right) =\sin \alpha \cos \beta +\cos \alpha \sin \beta \\ \sin \left( \alpha -\beta \right) =\sin \alpha \cos \beta -\cos \alpha \sin \beta\\ \cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta\\ \cos(\alpha-\beta)=\cos\alpha\cos\beta+\sin\alpha\sin\beta\end{align}$$

以上が、それぞれ正弦・余弦定理を表す式になります。

・にはそれぞれ角度及び文字が入ります。


この2つの定理を用いて、それぞれ三角関数の角度の和算が可能になります。

正接の加法定理

$$\begin{align}\tan(\alpha+\beta)={\tan(\alpha+\beta))/1-\tan\alpha\tan\beta}\\ \tan(\alpha-\beta)={\tan(\alpha-\beta))/1+\tan\alpha\tan\beta}\end{align}$$

一方、正接の加法定理は、正弦定理と余弦定理を組み合わせることで導くことができます。


まず\( tan\theta\) の求め方です。

\( tan\theta\)は、\( \tan\theta=\sin/\cos\)で あることから導くことができます。

この\( \sin・\cos\)をそれぞれ先程の正弦定理・余弦定理に置き換えます。

まずは\(\tan(\alpha+\beta)\)から求めてみましょう。


\(\tan\theta=\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)より

\(\tan\alpha=\frac{\sin(\alpha+\beta)}{\cos(\alpha+\beta)}=\frac{\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta}{\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta}\)

分子・分母をそれぞれ\(cos\alpha\cos\beta\)で割って

\(=\frac{\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta}{\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta}=\frac{\tan\alpha-\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta}\)


同様に\(\tan(\alpha-\beta)\)に関しても、


\(\tan(\alpha-\beta)=\frac{\sin(\alpha-\beta)}{\cos(\alpha-\beta)}\\=\frac{\sin\alpha\cos\beta-\cos\alpha\sin\beta}{\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta}\\=\frac{\tan\alpha+\tan\beta}{1+\tan\alpha\tan\beta}\)


以上のようにして、\(\tan(\alpha+\beta)\),\(\tan(\alpha-\beta)\)の場合の加法定理、正接定理が求められました。


2倍角の定理・公式の導出をマスターしよう!

それでは加法定理と同様に、2倍角の定理の導出方法について見てみましょう。2倍角の定理は先ほど求めた加法定理の変形で導かれます。

sin2α

sin2αの求め方は、以下のとおりです。


先ほどの正弦定理を利用します。

正弦定理は、以下の数式で表現されました。

$$\begin{align}\sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta\end{align}$$

sin2αは、上述の数式のsin(α+β)のβがαに置き換わった形とみることができます。


そうすると、正弦定理より

$$\begin{align}\sin(\alpha+\alpha)=\sin\alpha\cos\alpha+\cos\alpha\sin\alpha =2\sin\alpha\cos\alpha\end{align}$$

以上のように、sin2αは、sinα、cosαの積の2倍という形で表すことができます。

cos2α

cos2αの求め方は、以下の通りです。


次は、余弦定理を利用します。

余弦定理は以下の数式で表現されました。

$$\begin{align}\cos 2\alpha &=\cos ^{2}\alpha -\sin ^{2}\alpha \\ &=2\cos ^{2}\alpha -1 \\ &=1-2\sin ^{2}\alpha\end{align}$$

sin2αと時と同様に、cos2αは上述の数式のcos(α+β)のβがαに置き換わった形とみることができます。


そうすると、余弦定理より、

$$\begin{align}\cos(\alpha+\alpha)=\cos\alpha\cos\alpha-\sin\alpha\sin\alpha=\cos^{2}\alpha-\sin^{2}\alpha\end{align}$$

また、

$$\begin{align}\sin^{2}\theta+\cos^{2}\theta=1 より、 \sin^{2}\theta=1-\cos^{2}\thetaなので\end{align}$$
$$\begin{align}\cos(\alpha+\alpha)=\cos\alpha\cos\alpha-\sin\alpha\sin\alpha=\cos^{2}\alpha-\sin^{2}\alpha=\cos^{2}\alpha-(1-\cos^{2}\alpha)=2\cos^{2}\alpha-1\end{align}$$
$$\begin{align}同様に、\sin^{2}\theta+\cos^{2}\theta=1 より、 \cos^{2}\theta=1-\sin^{2}\thetaなので\end{align}$$
$$\begin{align}\cos(\alpha+\alpha)=\cos\alpha\cos\alpha-\sin\alpha\sin\alpha=\cos^{2}\alpha-\sin^{2}\alpha=1-\sin^{2}\alpha-\sin^{2}\alpha=1-2\sin^{2}\alpha\end{align}$$

以上のようにcos2αの値は,のcosα、sinαの二乗の差の形で表されます。 

基本となるcos2α=cos^2α-sin^2αの形から派生した2つの変形は、計算を効率化する上でとても役に立つので2倍角の定理の一部として個別に暗記しておきましょう。

tan2α

加法定理の変形から導きます。

$$\begin{align}\tan(\alpha+\beta)={\tan(\alpha+\beta)/1-\tan\alpha\tan\beta}\end{align}$$

これをこれまでと同様に、tan2αは、tan(α+α)であることから、

$$\begin{align}\tan(\alpha+\alpha)={\tan(\alpha+\alpha)/1-\tan\alpha\tan\alpha} =\tan2\alpha/1-2\tan\alpha\end{align}$$

tan2αの場合は、他の文字との関わりがないため、比較的シンプルな変形になっています。

そのためtan2αについては2倍角の公式は暗記せず、加法定理の暗記だけで十分です。


いずれの場合も、加法定理を利用して”両方を同じ文字になるように置き換える(α+β)→(α+α)ということを覚えておいてください。

例題1(sin2α,cos2αの値)

それでは実際に、2倍角の公式を用いた例題を解いてみましょう。


問. αが第2象限の角で、sinα=√3/3のとき、sin2α、cos2αの値をそれぞれ求めなさい。

解答.この問題では最初にsin2α=√3/3が明らかになっています。


ここからまず、計算するうえで必要になるsin^2αを求め、cos^2αの値を明らかにします。


計算には、sin^2α+cos^2α=1を用います。

$$\begin{align}\sin^{2}\alpha+\cos^{2}\alpha=1\end{align}$$

上記の式のsin^2αにsinα=√3/3を代入すると、


3/9+cos^2α=1


cos^2α=6/9


このとき、αは第2象限の角であることから、


π/2<α<π、よってcosα<0


cosα=-√6/3


これでsinα、cosαの値がともに出そろったため、2倍角の定理を用いることができます。


それぞれ代入すると、


sin2α=2sinαcosα

=-2√2/3


以上でsin2αの値が求まりました。


次にcos2αの値も求めてみましょう。


cos2αの公式は、


cos2α=cos^2α-sin^2α=2cos^2α-1=1-2sin^2α


今回は、問で値が明確に示されているsinαを用いて求めていきます。



そのために使う式変形はcos2α=1-2sin^2αです。


sinα=√3/3


これを2倍角の定理に代入して、


cos2α=1-2sin^2α

=1/3


以上で、cos2αの値も求まりました。


一度公式を覚えてしまえば、あとは代入するだけなのでこのように計算がとても簡単にすすめられるようになります。


なお、別解として先ほどのsin2αを求めるときに用いた値を使って、


cos2α=cos^2α-sin^2α=2cos^2αー1


に代入しても同様に解くことができます。


様々な開放に慣れることでミスを減らしていきましょう。

それでは、↑の問題からtan2αの値を求めてみましょう。


問.上記の問題におけるtan2αの値を求めよ。


解答.

この問題で用いるのは実は2倍角の定理ではありません。


正接の2倍角はtanθのみでこうせいされているため、あの定理からは直接sinθ、cosθの値を用いた式を立てることはできないためです。


そのためこの回答ではもっと単純に、tanθ=sinθ/cosθであることを用います。


先の2つで求めた結果を


tanθ=sinθ/cosθにそれぞれ代入して、

tan=-2√2


以上のように、sinα及びcosαの値のどちらか一方が明らかになっている問題ではtan2αの値は、cos2α、sin2αの値を用いることによって求めることができます。

例題2(tan2αの値)

次にsinα、cosαの値がわからず、tanαの値だけが明らかになっている場合の問題を解いてみましょう。


問. tanα=3のときのtan2αを求めよ


解答.

この問題の解答にはシンプルに正弦の2倍角の定理を用います。


tan2α=2tanα/(1-tan^2α)

=2*3/(1-3^2)

=-3/4


tan2αの解法は以上です。

おわりに

ここまで2倍角の定理と問題の解き方について解説していきました。

実際にどのように問題を説いたら良いのか、疑問は解けたでしょうか。

今回の記事で紹介したのはまだまだ基礎中の基礎にあたる問題です。

今後勉強を進める中でもっと発展的な問題にもぶつかるでしょう。

しかし数学は実践。。

簡単な問題から、学校や塾からもらったテキスト、参考書などを手がかりに問題をもっとこなし、理解を深めて完璧に使いこなせるようにしましょう!

この記事の執筆者
最高の学習をもっと身近に、どこでも。スタモ編集部は、大学受験や日々の勉強に役立つ記事を発信しています。予備校講師や塾講師の経験のある東大、京大、早慶の卒業者メンバーが中心に、どこよりも詳しく、どこよりも丁寧な内容をお届けいたします。
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