2019年02月09日更新
仮定法はこれでマスター!4つの用法と仮定法を見抜くポイントを抑えよう!
日本語には存在しない「仮定法」の考え方をマスターします。

日本語には存在しない「仮定法」という考え方。

本稿では仮定法について解説をします。

直説法、命令法と仮定法の違い

まず、話し手が自分の言いたいことを伝達する方法のことを文法の専門用語で、「法」と言います。

 

具体的には、事実として伝達する方法を「直説法」希望や要求、提案という形で相手に伝達する方法を「命令法」、そして、仮定のこととして伝達する方法を「仮定法」と言います。

 

直説法は普通の文章、命令法は命令文だと理解すれば、わかりやすいです。

 

例文にすると、まず

 

直説法:My mather couldn’t sleep yesterday. (母は昨日眠れなかった)

命令法:Be quiet! (静かにしなさい!)

 

という2つの「法」があります。

 

直説法は、上の例文のような平叙文に加え、疑問文や感嘆文も含まれます。

 

この直説法・命令法は、「時制」の使い方が全く同じで、現在形・過去形・未来形といった時制は、ざっくりといって、それぞれ現在のこと、過去のこと、未来のことを示します。

 

これは、中学英語の範囲の話です。


仮定法の4つの用法

さて、本稿のメインテーマは、最後の「仮定法」についてです。

 

この「仮定法」で注意することは、「直説法・命令法とは根本的に『時制』の使い方が異なる」ということです。

 

この根本的なルールが理解できないと、仮定法の英文が全く理解できないので注意が必要です。

 

どのように違うかというと、

 

①  仮定法の文章における過去形 → 実際には起こっていない現在の仮定(仮定法過去)

②  仮定法の文章における過去完了形 → 実際には起こっていない過去の仮定(仮定法過去完了)

③  仮定法の文章における未来形 → これから起こりそうにない未来の仮定(仮定法未来)

④  仮定法の文章における現在形 → 要求など、現在すべきことを伝える場合の仮定(仮定法現在)

 

という形で、「過去形なのに現在のことを話している」といったように、「時制にズレが生じる」ということです。

 

①の用法を「仮定法過去」、②を「仮定法過去完了」、③を「仮定法未来」、④を「仮定法現在」という呼び方をします。

 

仮定法にはこの4つの用法しかありません。

それぞれの用法の解説

③と④では時制のズレが生じないため、直説法と同じ読み方をすることができます。

 

そのため、意味は理解しやすいと思います。

 

意味が理解しにくいのは、「動詞の時制が過去になっているのに現在の話をしている」というケースである①の場合と、時制が過去完了形になっていて「過去よりもさらに昔の過去」の話をしているように見えるのに、「過去」の話をしているというケースの②の場合になります。

 

それぞれ、例文を見てみましょう。

 

①「仮定法過去」

 

「仮定法過去」の用法では、「実際には起こっていない現在の仮定」を表現します

 

If I were you, I wouldn’t laugh at him.

和訳:もし私があなただったら、彼のことを笑いませんね。

 

上の例文では、「私」が「あなた」になることはありえませんので、当然「仮定法」を使って「現在の仮定」を示すことになります。

 

主節は、「would」などの助動詞の過去形を使って、「~だっただろう」という意味を表現します。

 

条件節で、be動詞が「was」ではなく、「were」になっているのは、仮定法の場合にのみ利用される「were」の特殊な用法です。

 

「was」でも意味は通じますが、「were」よりもくだけた形の英語になる点に注意して下さい。

 

②「仮定法過去完了」

 

「仮定法過去完了」の用法では、「実際には起こっていない過去の仮定」を表現します。

 

If I had known the fact, I wouldn’t have done so.

和訳:もし、私がその事実を知っていたならば、そんなことはしなかったのに。

 

上の例文では、「その事実を知っていた」ということが「過去の仮定」になります。

 

そのため、「そんなことはしなかったのに」という主節の箇所は、「過去の仮定の結果」を示すことになります。

 

「仮定法過去完了」では、主節の「過去の仮定の結果」は、「助動詞の過去形」+「完了形」によって示すということを覚えておきましょう。

 

①の「現在の仮定」では、「助動詞の過去形」だけで「現在の仮定の結果」ができましたが、②の「過去の仮定」では、「助動詞の過去形」に加えて、動詞の「完了形」を付け加えないと「過去の仮定の結果」を表現できないわけです。

 

③「仮定法未来」

 

「仮定法未来」の用法では、「起こりそうもない未来の仮定」を表現します。

 

この場合は、「were to~」や「should」といった特徴的な表現が条件節に入り込むことが重要です。

 

例えば、

 

If I were to tell you about her history, you would be amazed.

和訳:もし仮に私があなたに彼女の過去を教えたならば、あなたはびっくりするでしょう。

 

同様の英文を「should」を使うと、

 

If I should tell you about her history, you will be amazed.

和訳:もし万が一、あなたに彼女の過去を教えたならば、あなたはびっくりするでしょう。

 

あえて、「were to~」や「should」の使い分けをいうならば、

 

「were to~」は、「ほぼ起こりそうにない非現実なことを仮定する」場合に利用し、「should」は、「実現性がやや乏しいことを仮定する」ときに利用するということになります。

 

実現性がどの程度あるのかで、「were to~」や「should」を使い分けることが多いといえます。

 

④「仮定法現在」

 

「仮定法現在」の用法では、「要求など、現在すべきことを伝える場合の仮定」を表現します。

 

I suggested that the conference (should) be postponed.

和訳:私は、会議を延期してはどうかと言っている。(会議延期の提案)

 

上の英文では、現在、会議予定を延期しないことが前提であるため、「延期することが必要だ」ということを示す目的で「仮定法」を利用しています。

 

「仮定法現在」の用法は、提案・助言・要求(advise,ask,desire,decide,demand,require,propose,etc)の意味をもつ動詞を用いる際に利用します。

 

提案・助言・要求を示す動詞のthat節以下の動詞が原形になることが「仮定法現在」特有のルールです。

 

仮定法現在の英文では、that節内の「be」の前に「should」がつく場合もあります。

 

そのため、「that節以下の動詞が原形になる」というルールは、「should」がthat節内で省略されていると考えることも可能です。

仮定法の応用例

繰り返しますが、「仮定法と直説法・命令法では時制が根本的に違う」ということが重要です。

 

時制の食い違いをしっかりと把握して、仮定法を利用している英文の意味をきちんと把握するようにして下さい。

 

ここで一点、応用例です。

 

基本となる4つの用法以外の文章として、①と②を組み合わせる英文もあり得ます。

 

それは、「もし、過去に○○だったならば、現在は△△なのになぁ」ということを伝達する場合です。

 

例文をあげてみましょう。

 

If he had not broken his arm, he would be swimming in the river now.

和訳:もし彼が腕を骨折していなかったら、彼はその川で今泳いでいたことだろう。

 

「過去の仮定」をするために条件節だけが過去完了形になります。

 

一方、主節は「現在の仮定の結果」を表現するために過去形になります。

 

こういった英文も、状況によっては利用されます。

仮定法の文章を見抜くポイント

通常、英文を読解していくときには、直説法や命令法で書かれている文章を文章順に読んでいく形になります。

 

その中に、急に時制の使い方が異なる「仮定法」の用法を使っている文章が混じってきます。

 

そのため、仮定法を利用している文章を他の文章と見分けて、意味を正しく把握することが重要になるわけです。

 

特に、大学受験の下線部和訳の問題などでは、仮定法を利用している文章を和訳させる問題などがよく出題されます。

 

その出題意図はもちろん「英文の中で生じてくる『仮定法』の文章を正しく見分けているか」ということにあるわけです。

 

さて、それでは、仮定法の文章をどのようにしたら見抜くことができるのでしょうか?

 

ポイントは、上の例文からもわかるように、If節内の動詞の時制が過去形・過去完了形になっているか、主節の英文の助動詞が過去形や助動詞プラス完了形の形になっているか、といったことから判断します。

 

これ以外にも、If節(条件節:~ならば)を利用しないで仮定法を表現することができる慣用句が存在します。

 

例えば、as if ~(~であるかのように)、wish~(~であったらいいのに)、but for ~、wihtout~、with~、otherwise、If it were not for ~(もし、~がなかったら)といった表現です。

 

これらの表現を目印にして、仮定法の文章を見つけることもできます。

 

こういった慣用句を使った仮定法は、慣用句自体を覚えてしまって文章に仮定法が利用されていることを必ず確認していきましょう。

仮定法ではなぜ「時制」にズレが生じるか?(応用編)

さて、仮定法では、「仮定法過去」と「仮定法過去完了」の用法で、時制にズレが生じることを紹介してきました。

 

なぜ「時制にズレが生じるのか」の一つの考え方として、「過去形」の持っているニュアンスに着目する視点があります。

 

そもそも、「過去形」という時制は、「過去の出来事であって、現在とは状況が違っている」ということを示すために用いることが多い時制です。

 

例えば、

 

He studied English yesterday.(彼は昨日英語の勉強をした)

 

という英文では、あくまでニュアンスとして、「本日は勉強していない」というニュアンスが含まれている場合があるのです。

 

もし、昨日も今日も英語の勉強をしていた場合は、「現在完了進行形」などで勉強し続けていることを明示することできます。

 

He has been studying English since yesterday.(彼は2日間英語の勉強をし続けている)

 

そのため、過去から現在まで継続している出来事に対して、わざわざ過去形を利用すること自体、意味がないことであるわけです。

 

そのため、「過去形」という時制のニュアンスの後半部分である「現在とは状況が違っている」という部分だけをうまく利用すると、「現在は違っているけれども、本当はそうなっていたらいいのになぁ」といった「現在の仮定」を表現することもできるように思えてきます。

 

つまり、現在のことを伝達しようとしているのにもかかわらず、動詞の形をあえて「現在形」ではなく「過去形」にしてしまって、「本当の現在とは違う仮定の現在の状況」(現在の仮定)を「過去形」で表現するというのが「仮定法」という文法のイメージであるわけです。

 

仮定法過去の文章であれば、「わざわざ過去形を使って現在の文章をつくるということは、本当の現在とは違う状況なんだよ」というのが重要なポイントです。

 

ここまで解説すれば、英語を話すネイティブがなぜ過去形や過去完了形をつかって、現在や過去の仮定を表現したくなるのか、という根本的な部分が理解しやすくなるのではないかと思います。

「仮定法現在」の用法をマスターする

さて、過去形や過去完了形を使った仮定法のイメージを紹介しました。

 

仮定法過去や仮定法過去完了とは一線を画す形で、「仮定法現在」の用法は重要です。

 

なぜ重要かというと、「仮定法現在」の用法は、TOEICなどの資格試験の文法問題や、難関私大の英文法の記号問題で頻出するテーマであるからです。

 

実際の問題がどのように出ているかを確認してみましょう。

 

例えば、このような問題です。

 

下記の英文の空欄に入る英単語を1~4の選択肢から選び、数字で答えよ。

 

New city regulations (    ) that all the residents in the city be inspected for signs of cancer.

和訳:新しい市の規制は、市のすべての住民にがんの兆候がないかの検査を求めている。

 

 

1.requires  2. declare  3.are declaring  4.require

 

 

答えは、4.require になります。

 

もちろん解答の根拠は、英文後半のthat節の中の動詞「be」が原形であることです。

 

この「be」をみて、要求の意味のある選択肢1と4を残す形になります。

 

その後、主語の「regulations」が複数形となっているため、1.requiresの3単現sが不要であることがわかって、解答が4.requireに絞られます。

 

こういった問題がよく出るため、「仮定法現在」の用法はきちんと確認をしておいてください。

 

「仮定法現在」の用法は、提案・助言・要求(advise,ask,desire,decide,demand,require,propose,etc)の意味をもつ動詞が使われている文章で、見かけることができるということです。

その他の仮定法の用法もチェックしよう

その他にも、仮定法では、「仮定法の文章を見抜くポイント」のところで述べた通り、as if ~(~であるかのように)、wish~(~であったらいいのに)、but for ~、wihtout~、with~、otherwise、If it were not for ~(もし、~がなかったら)など、かなり多様な用法があります。

 

本稿では、その一つ一つの紹介は行いませんが、ぜひ文法の参考書等で、細かい用法を確認してどのような用法が出ても、きちんと日本語に置き換えることができるように慣れ親しむようにして下さい。

この記事の執筆者
名古屋大学工学部→大学4年次編入で京都大学法学部へ。高校数学の講師歴3年あり。工学部で利用する基礎科学的な内容や、数学(数ⅢC)について、大学を視野に入れた数学の勉強方法、リスニング、パラグラフリーディング、英文解釈、英文和訳、単語熟語の覚え方を分かりやすくご説明します。
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