2019年01月31日更新
三平方の定理とは?証明方法や例題についても解説!
三平方の定理とは中学3年生で習う直角三角形の辺の比にまつわる公式です。三平方をもとにした平面図形・空間図形の問題も多いため是非マスターして使いこなせるようにしておきたい公式です。今回はそんな三平方の定理について解説します。

三平方の定理とは

三平方の定理とは中学生で習う、直角三角形の辺の長さに関わる公式です。提唱者の名前から、別名「ピタゴラスの定理」という呼ばれ方もします

以下の図を見てください。

 

斜辺をc、その他の辺をそれぞれa,bとした直角三角形です。

三平方の定理とは、この場合において以下のように表される式です。

$$\begin{align}c^2=a^2+b^2\end{align}$$

斜辺の二乗が、その他の辺の二乗と等しい

この法則がどの直角三角形においても常に成り立つ、というのが三平方の定理の特徴になります。

そのため直角三角形において、それをなす3辺のうち、2辺の長さを知ることができれば

残りの1辺の長さを導き出すことができます

 

それでは三平方の定理の証明方法を見ていきましょう。

 

三平方の定理の証明

ピタゴラスの定理は数百通りものことなる証明があることで知られています。ここでは中学数学の範囲で導くことのできる、図形を使った代表的な証明方法を2つ紹介します。

 

1. 正方形を用いた証明

 

上の図はcを斜辺とする直角三角形、△ABCを4つ並べたものです。

図のようにして並べることで、外側にはa+bを一辺とする大きな正方形が、そして内側には一辺がcの小さな正方形ができました。

この直角三角形の組み合わせでできた正方形の図を元に、三平方の定理が実際に成り立つことの証明を進めていきます。

 

はじめにこの正方形全体の面積を求めましょう。

一辺がa+bなので、

$$\begin{align}正方形の面積=(a+b)^2 …(A)\end{align}$$

 

次に直角三角形である△ABCと小さな正方形との組み合わせから大きな全体の正方形の面積を求めます。

△ABCの一つの面積は、底辺がa、高さがbであるため、

$$\begin{align}a*b*\frac{1}{2}\end{align}$$

さらに外側を囲っている△ABCはすべて合同な三角形であるため、

$$\begin{align}a*b*\frac{1}{2}*4\end{align}$$
$$\begin{align}=2ab\end{align}$$

よって4つの△ABCの面積2abが求められました。

続いて小さな正方形の面積を求めます。

小さな正方形は△ABCの斜辺cを一辺としているため、一辺がcの正方形です。

$$\begin{align}c^2\end{align}$$

以上から、△ABCと小さな正方形の組み合わせから求められる大きな正方形の面積について、

$$\begin{align}正方形の面積=c^2+2ab …(B)\end{align}$$

と表されます。

 

ここで2種類の求め方で表された大きな正方形の面積(A)と(B)を比較します

これらは同じ正方形の大きさを表しているため、等号で結ぶことができます

(A),(B)より

$$\begin{align}(a+b)^2=c^2+2ab\end{align}$$
$$\begin{align}a^2+b^2+2ab=c^2+2ab\end{align}$$
$$\begin{align}a^2+b^2=c^2\end{align}$$

 

よって、直角三角形ABCにおいて斜辺cの2乗がその他の2辺の2乗に等しいことが証明できました。

 

2. 相似を用いた証明

三平方の定理は相似からも証明することができます。下の図を見てください。


斜辺をcとする直角三角形ABCの頂点Cから、垂線をのばしてABと接する点をHとしています。この時にできる3つの三角形、△ABC,△ACH,△CBHについて見ていきましょう

 

はじめにこれらの3つの三角形が相似であることを証明します。

 

△ABCと△ACHで

仮定より

$$\begin{align}\angle{ACB}=90°\end{align}$$

CHはABに垂直に下ろした辺だから

$$\begin{align}\angle{AHC}=90°\end{align}$$

よって

$$\begin{align}\angle{ACB}=\angle{AHC}=90°\end{align}$$

また共通な角より

$$\begin{align}\angle{CAB}=\angle{HAC}\end{align}$$

よって△ABCと△ACHで

2組の角がそれぞれ等しいから

△ABC∽△ACH

 

また同様に△ABCと△CBHで

垂線CHより

$$\begin{align}\angle{CHB}=90°\end{align}$$

よって

$$\begin{align}\angle{ACB}=\angle{CHB}=90°\end{align}$$

また共通な角より

$$\begin{align}\angle{ABC}=\angle{CBH}\end{align}$$

よって△ABCと△CBHでも

2組の角がそれぞれ等しいから

△ABC∽△CBH

 

よって

△ABC∽△ACH∽△CBH

である

3つの三角形が互いに相似であることから、それぞれの三角形同士において、3組の辺の比はすべて等しい

 

したがって△ABCと△ACHで相似比より

$$\begin{align}AC:AH=AB:AC\end{align}$$
$$\begin{align}AH*AB=AC*AC\end{align}$$
$$\begin{align}AH=\frac{AC*AC}{AB}\end{align}$$

辺の長さはそれぞれAC=b,AB=cであるから

$$\begin{align}AH=\frac{b^2}{c} …(A)\end{align}$$

 

同様に△ABCと△CBHでも相似比より

$$\begin{align}BC:BH=AB:BC\end{align}$$
$$\begin{align}BH*AB=BC*BC\end{align}$$
$$\begin{align}BH=\frac{BC*BC}{AB}\end{align}$$

辺の長さはそれぞれBC=a,AB=cであるから

$$\begin{align}BH=\frac{a^2}{c} …(B)\end{align}$$

 

HはAB上の点であるため、ABはAHとBHを足したものである。

$$\begin{align}AB=AH+BH\end{align}$$

ここで(A)(B)より

$$\begin{align}AH=\frac{b^2}{c}, BH=\frac{a^2}{c}\end{align}$$

加えてAB=cであるから

$$\begin{align}AB=AH+BH\end{align}$$
$$\begin{align}c=\frac{b^2}{c}+\frac{a^2}{c}\end{align}$$

両辺にcを掛けて

$$\begin{align}c^2=\frac{b^2}{c}*c+\frac{a^2}{c}*c\end{align}$$
$$\begin{align}c^2=a^2+b^2\end{align}$$

 

以上から、相似においても直角三角形ABCにおいて斜辺cの2乗がその他の2辺の2乗に等しいことが証明できました。

 

例題

(1)


(2)


(3)

[解説]

(1)

三平方の定理より

$$\begin{align}AB^2=BC^2+CA^2\end{align}$$
$$\begin{align}BC=2,AC=5であるから、代入して\end{align}$$
$$\begin{align}AB^2=2^2+5^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB^2=4+25\end{align}$$
$$\begin{align}AB^2=29\end{align}$$
$$\begin{align}AB=\sqrt{29}\end{align}$$

 

(2)

三平方の定理より

$$\begin{align}AB^2=BC^2+CA^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB=4,BC=3であるから、代入して\end{align}$$
$$\begin{align}4^2=3^2+CA^2\end{align}$$
$$\begin{align}16=9+CA^2\end{align}$$
$$\begin{align}CA^2=16-9\end{align}$$
$$\begin{align}CA=\sqrt{7}\end{align}$$

 

(3)

四角形ABCDの面積を求める。

台形の面積の求め方は

$$\begin{align}{(上辺)+(下辺)}*(高さ)*\frac{1}{2}\end{align}$$

である。

 

(上辺),(下辺)についてはすでに明らかになっているため、(高さ)を求めていく。

そこで下図のように点AからDCに平行な垂線をBCに向かって引き、交わる点をHとする。

 

このとき上図から直角三角形AHBができた。

AB=4,BHの長さは(下辺)-(上辺)で求められるから、BH=8-6=2

よって直角三角形AHBで2辺が明らかになったため、三平方の定理より

$$\begin{align}AB^2=AH^2+BH^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB=4,BH=2を代入して\end{align}$$
$$\begin{align}4^2=AH^2+2^2\end{align}$$
$$\begin{align}16=AH^2+4\end{align}$$
$$\begin{align}AH^2=16-4=12\end{align}$$
$$\begin{align}AH=\sqrt{12}\end{align}$$
$$\begin{align}AH=2\sqrt{3}\end{align}$$
$$\begin{align}よって高さAH=2\sqrt{3}\end{align}$$

 

台形の面積の求め方より

$$\begin{align}{(上辺)+(下辺)}*(高さ)*\frac{1}{2}\end{align}$$
$$\begin{align}=(6+8)*2\sqrt{3}*\frac{1}{2}\end{align}$$
$$\begin{align}=14*\sqrt{3}\end{align}$$
$$\begin{align}=14\sqrt{3}\end{align}$$
$$\begin{align} よって求める面積は 14\sqrt{3} \end{align}$$



特別な形の直角三角形

上の例題のように直角三角形であれば2辺が明らかになることで、三平方の定理から残りの辺の長さを求めることができました

しかし直角三角形の中には、あらかじめ辺同士の比が比が明らかになっている有名な直角三角形がいくつか存在します。この項ではそれらの三角形について紹介します。

 

1. 45,°45°,90°の三角形

 

上の直角三角形は、角Cが90°、その他の角が45°,45°の二等辺三角形です。

このような90°,45°,45°の三角形において、

$$\begin{align}辺の比は必ず”1:1:\sqrt{2}と表されます。\end{align}$$

 

辺AC(=CB)の長さをaとすると、

$$\begin{align}AB^2=a^2+a^2=2a\end{align}$$
$$\begin{align}AB=\sqrt{2}a\end{align}$$

よって3辺の長さの比

$$\begin{align}AC:BC:AB=1:1:\sqrt{2}\end{align}$$



2.30°,60°,90°の三角形

 

上の直角三角形は、鋭角を角の大きさの小さい順に30°,60°とし、角Cを90°とする三角形です。

30°,60°,90°の三角形でも、辺の長さの比は必ず決まった値、

$$\begin{align}1:2:\sqrt{3}になります。\end{align}$$

またこの30°,60°,90°の直角三角形は、正三角形を角の二等分線で二等分した三角形です。よって証明は次のように表されます。

 

図の三角形ADBは正三角形である。このときBD=ABです。

このとき二等辺三角形の角の二等分線の性質より、ACはBDを二等分するため、

$$\begin{align}BC=\frac{1}{2}AB\end{align}$$

よって AB=2BCと表されます。

この図でBC=aとします。このとき、AB=2BCであるため、AB=2a

三平方の定理より、

$$\begin{align}AC^2=AB^2+AB^2\end{align}$$
$$\begin{align}AC^2=a^2+2a^2\end{align}$$
$$\begin{align}AC^2=3a^2\end{align}$$
$$\begin{align}AC=\sqrt{3}a\end{align}$$

よって3辺の長さの比

$$\begin{align}BC:AB:AC=1:2:\sqrt{3}\end{align}$$

 

これら2つは演習や模試などでも頻出などで、計算しなくても出せるように知識事項として暗記するようにしておきましょう。

 

3. その他の有名な整数比で表される直角三角形

以下では有名な整数比だけで辺が作られる直角三角形について紹介します。これらは上の2つの三角形と違って、角度で辺の比が決まるわけではなく、他の2辺の長さがわかっている必要があります。あくまで簡単に表せる比であるというだけなので、その点を混同しないようにしましょう。

 

① 3:4:5

上図よりABCは角Cを90°とする直角三角形です。

斜辺を除く2辺、AC,BCをそれぞれ3a,4aとしたとき

三平方の定理より

$$\begin{align}AB^2=AC^2=BC^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB^2=(3a)^2+(4a)^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB^2=25a^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB=5a\end{align}$$

よって3辺の辺の比は

$$\begin{align}3:4:5\end{align}$$



② 5:12:13

上図よりABCは角Cを90°とする直角三角形。

ここで斜辺を除く2辺、AC,BCをそれぞれ5a,12aとすると

三平方の定理より

$$\begin{align}AB^2=AC^2=BC^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB^2=(5a)^2+(12a)^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB^2=25a^2+144a^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB^2=169a^2\end{align}$$
$$\begin{align}AB=13a\end{align}$$

よって3辺の辺の比は

$$\begin{align}5:12:13\end{align}$$

 

ここで紹介した2つの三角形は他の2辺の長さが必要わかっていなければ使うことができません。そのため、普通に三平方の定理で求めることもできますが、実際に問題を解く際に計算を大幅に簡略化して答えを求めることができるため、余裕があれば覚えておくようにしましょう。

 

例題

(1)一辺が5cmの正三角形


(2)



[解説]

△ABCは一辺が5cmの正三角形である。

よって正三角形は全ての角が60°の三角形であるから、

$$\begin{align}△AHCの\angle{HCA}=60°\end{align}$$
$$\begin{align}AHはBCに垂直であるから\angle{AHC}=90°\end{align}$$

よって△AHCは30°,60°,90°の直角三角形である。

 

$$\begin{align}よってHC:CA:AH=1:2:\sqrt{3}\end{align}$$

AH=xとする。一辺は5であるから

$$\begin{align}CA:AH=2:\sqrt{3}\end{align}$$
$$\begin{align}5:x=2:\sqrt{3}\end{align}$$
$$\begin{align}\sqrt{3}x=5*2\end{align}$$
$$\begin{align}x=\frac{10}{\sqrt{3}}\end{align}$$



$$\begin{align}よって正三角形ABCの高さAHは \frac{10}{\sqrt{3}}\end{align}$$

 

(2)

四角形ABCDの一辺、ADについて求める。

$$\begin{align}ここで△BCDは\angle{BCD}=90°の直角三角形であり、\end{align}$$

また斜辺でない2辺BC、CDがそれぞれ6,8である(BC;CD=6;8=3;4)から、

△BCDは3:4:5の直角三角形である。

 

よって

BDをxとすると

$$\begin{align}3:4:5=6:8:x\end{align}$$
$$\begin{align}x=10\end{align}$$



$$\begin{align}次に△ABDも\angle{ABD}=90°の直角三角形であり、\end{align}$$

ADとさっきの計算で明らかになったBDを比べると、BD:AD=10:26=5:13である。

よって△ABDは5:12:13の直角三角形。

 

よって

ABをyとすると

$$\begin{align}5:12:13=10:y:26\end{align}$$
$$\begin{align}y=24\end{align}$$



$$\begin{align}よってABは24\end{align}$$

まとめ

ここまで三平方の定理の証明の例題について解説しました。三平方の定理は応用問題などでも頻繁に出るため、是非マスターしておきたい定理です。自分で問題を解いて三平方の定理の応用にもなれていきましょう。

この記事の執筆者
スタモ編集部
最高の学習をもっと身近に、どこでも。スタモ編集部は、大学受験や日々の勉強に役立つ記事を発信しています。予備校講師や塾講師の経験のある東大、京大、早慶の卒業者メンバーが中心に、どこよりも詳しく、どこよりも丁寧な内容をお届けいたします。
関連記事
数学的帰納法はこれでマスター!基本から大学入試レベルの問題の解き方まで徹底解説!
証明が苦手な方なら数学的帰納法はすごい難しいことをしているように見えるのではないでしょうか?しかし、その仕組みを理解すれば意外と簡単なんですよ。本記事では、数学的帰納法の基本や仕組み、問題の解き方について分かりやすく解説していきます。
反比例について徹底解説!基礎からからグラフの描き方まで初学者にもわかりやすく解説します
「反比例って苦手だったな…」「反比例のグラフの描き方忘れちゃった!」「日常生活で反比例の関係にあるものって?」本記事では反比例が苦手な方に向けて、今さら聞けない基本から徹底的に解説していきます。
0から分かる特性方程式!数列の漸化式の問題での使い方を詳しく解説
本記事では特性方程式の内容と証明、その使い方を詳しく解説していきます。特性方程式と、その元となる数列の漸化式(ぜんかしき)とは何かを理解し、さまざまな漸化式の問題をとおして特性方程式の使い方を身につけていきましょう。
0から分かる2倍角の公式!導出から公式を用いた計算まで徹底解説
この記事では、加法定理から2倍角の公式を導出します。また公式を用いた計算まで例題を解いて確認しましょう!
【等差数列】基礎から学んで3つの公式を使いこなそう!
等差数列は数列の基礎、土台です。数列は大学入試において頻出テーマなので、等差数列が苦手であっては大学合格は厳しいと言っても過言ではないでしょう。本記事では等差数列の3つの公式について分かりやすく解説していきます。
切片とは?傾き・2点の座標がわかっている時の求め方、切片の範囲についても解説!
切片とはなんでしょうか。切片とは直線に置いてy軸と交わっている点のことを指し、直線の式を求める際に傾きとともに最も大切な要素の一つです。本記事では切片とその求め方について解説します。
© 2018 スタモ.