2019年01月31日更新
これで二次不等式の分野を攻略できる!試験時に頻出である問題パターン
二次不等式の分野は、基礎をしっかり固めることでそう難しくない分野に出来ます。二次関数や二次方程式の知識も合わせて活用しながら、効率よく理解し、入試攻略に必要なパターンを押さえてしまいましょう。

不等式、とりわけ二次不等式について

不等式は右辺と左辺の大小関係を表したものですが、そこに文字式が含まれる際に、その最高次数が何かによって名前が決まりました。n次までの文字式が含まれる不等式をn次不等式と呼びます。 今回は、二次までの文字式を扱う二次不等式について取り上げます。

二次不等式の攻略に当たって不可欠な、グラフを使っての理解

1.二次不等式の解き方

まず、以下のような二次不等式を解くという最もベーシックな問題からおさらいしましょう。

$$\begin{align}x^2+8x+12\geq0\end{align}$$

この式の条件に適うxの範囲を求めるわけですが、その過程で重要なのが、左辺を二次関数を表す式と捉え、そのグラフをイメージしながら解くやり方です。

この問題は、左辺をf(x)とおいたとして、f(x)の値が0以上の時のxの範囲を求めよという風に読みかえられます。

そして、f(x)の値というのはy=f(x)のy座標の値に他なりませんから、それが0以上ということは、y=f(x)のグラフがx軸を含めて上側にある箇所のxの範囲を求めるということにまで言いかえられます。

ですからまずはy=f(x)のグラフを書いてみて、条件に合致する箇所はどこかを絞り、その時のxの範囲を解答とするというのが基本の流れになります。

この式を解くことは、後の例題の章でやってみましょう。

2.二次不等式を解くことに必要なツール

グラフを書いて解くに当たってのポイントをまとめておきます。

二次関数や二次方程式の知識も自在に使いながら解くことになりますので、弱点があるなと思ったらその単元に戻って復習してみるといいと思います。


・y=f(x)が二個のx軸切片を持つ場合、

それらのx座標をx=α、β(α<β)とおくと、このときf(x)は、xの二次の項の係数をaとしてf(x)=a(x-α)(x-β)と表記できます。(今、二次の式のみを考えているので、a≠0として進みます。)

α、βというのは、f(x)=0という二次方程式の二解でした。これを解いて求めて下さい。

ここで、


①a>0のとき

y=f(x)のグラフは下に凸であり、f(x)≧0であれば、この条件を満たすxの範囲はx≦α、x≧β

               f(x)<0であれば、この条件を満たすxの範囲はα<x<β

②a<0のとき

y=f(x)のグラフは上に凸であり、f(x)≧0であれば、この条件を満たすxの範囲はα≦x≦β

               f(x)<0であれば、この条件を満たすxの範囲はx<α、x>β

となるはずです。

グラフを書いて確かめてみましょう。


・y=f(x)が一個x軸切片を持つ場合は、

f(x)=0の解をαとすると、やはりαは二次方程式f(x)=0の解であり、このときy=f(x)はx軸に接する形です。

ここで、


①a>0のとき

y=f(x)のグラフは下に凸であり、f(x)≧0であれば、この条件を満たすxの範囲はx≧α

               f(x)<0であれば、この条件を満たすxの範囲は解なし

②a<0のとき

y=f(x)のグラフは上に凸であり、f(x)≧0であれば、この条件を満たすxの範囲はx=α

               f(x)<0であれば、この条件を満たすxの範囲は全ての実数

となります。


・y=f(x)がx軸切片を持たない場合、

①a>0のとき

y=f(x)のグラフは下に凸であり、f(x)≧0であれば、この条件を満たすxの範囲は全ての実数

               f(x)<0であれば、この条件を満たすxの範囲は解なし

②a<0のとき

y=f(x)のグラフは上に凸であり、f(x)≧0であれば、この条件を満たすxの範囲は解なし

               f(x)<0であれば、この条件を満たすxの範囲は全ての実数

ですね。


y=f(x)のx軸切片の個数、すなわちx軸との共有点の個数は、f(x)の判別式Dの正負を調べることで判定するのでした。

例題で実際に演習しましょう

では二次不等式の基本的な例題をいくつか演習しましょう。

以下の問いを解いてみて下さい。

$$\begin{align}1.)x^2+8x+12\geq0\end{align}$$
$$\begin{align}2.)x^2-2x+15<0\end{align}$$
$$\begin{align}3.)x^2+8x+12\geq0,x^2-2x+15<0\end{align}$$

解答です。

$$\begin{align}1.)x\leq-6,x\geq-2\end{align}$$
$$\begin{align}2.)-3<x<5\end{align}$$
$$\begin{align}3.)-2\leq{x}<5\end{align}$$

3.)についてですが、これは連立不等式の問題でした。

連立不等式の時はどうするかですが、これは連立方程式のときと発想は一緒です。二式の解をそれぞれ求めてみて、それらを全て「かつ」で結んだものというのが解答になります。


連立不等式の時は特に、数直線を書き、そこに各不等式の解を書き入れてその「かつ」の部分を見つけるとミスをしにくいです。

今の場合、一式目の解はx≦-6、x≧-2で、二式目の解は-3<x<5、これらの範囲をともに一つの数直線上に書き表してみると、両者が「かつ」になっている所は-2≦x<5の所というわけで、この解ということになります。


このような連立不等式の場合、その数字の点が含まれるか含まれないかは十分に注意しましょう。

各不等式の解を数直線上に書き込む際、不等号をよく見て、イコールが含まれるならその点は含まれるので黒丸表記、イコールが含まれないならその点は含まれないので白丸表記と注意して書き、連立の範囲を見つけたら、今度はそこからそれを表す不等式を忠実に書き起こさないといけません。

入試対策に必要なパターン問題について

基本的な問題だけでなく、入試などへの基礎力をつける問題パターンも見ておきましょう。

主には、以下の3パターンを考えます。


①文字係数を含むxについての二次不等式

②絶対値を含む二次不等式

③「全てのxについて成り立つ」、「とあるxについて成り立つ」不等式


いずれも場合分けの発想を必要とするものですが、条件となっていることをよく読めば怖くありません。

以下では文字x、kが出てきますが、ここではxを変数扱いの文字、kを定数扱いの文字としています。念頭に置いて進んで下さい。

①文字係数を含むxについての二次不等式

次の不等式を解いてみて下さい。

$$\begin{align}1.)x^2+(k-3)x-3k>0\end{align}$$
$$\begin{align}2.)k^2x^2-4kx-32k<0\end{align}$$

②絶対値を含む二次不等式

今度は絶対値を含む二次不等式です。

$$\begin{align}1.)3x^2-|x-1|-3>0\end{align}$$
$$\begin{align}2.)|x^2-5x+6|-72<0,x^2-3x+2\geq0\end{align}$$

③「全てのxについて成り立つ」、「とあるxについて成り立つ」不等式

最後に、二次関数の力もしっかり使う問題です。

$$\begin{align}1.)(k+1)x^2-(k-1)x+1>0が全てのxについて成り立つkの条件を求めよ。\end{align}$$
$$\begin{align}2.)2\leq{x}\leq3の範囲のxについて、x^2-2kx+2k+3<0が成り立つkの条件を求めよ。\end{align}$$

解答

 ①-1.)

$$\begin{align}k>-3のときx<-k,x>3\\ k=-3のときxは全ての実数\\ k<-3のときx<3,x>-k\end{align}$$

<解説>

与式は(x-3)(x+k)>0となりますから、答えはx<3,x>-kかx<-k,x>3かどっちかです。これは3と-kがどちらが大きいかで決まってきます。ですからここで、両者の大小関係で場合分けをします。

(ⅰ)-k<3⇔k>-3のとき、解はx<-k,x>3

(ⅱ)-k=3⇔k=-3のとき、与式は(x-3)の二乗となりますから、これはいつでも正が成り立ち、与式を満たします。

どんなxでも成り立つということから、こういう時解は「全ての実数」と書くのでした。

(ⅲ)-k>3⇔k<-3のとき、解はx<3,x>-k

①-2.)


$$\begin{align}k>0のとき-4k<x<8k\\ k=0のとき解なし\\ k<0のときx<8k,x>-4k\end{align}$$

<解説>

与式⇔k(x-8k)(x+4k)<0と変形できますから、左辺=f(x)とおくと、全体の共通因数となっているkの正負を調べ、これを払った時に不等号の向きが逆になるのかそのままなのかを決定したいところです。

また、割り算のことを考えるなら、割る数が0になるかどうかにも注意しなければなりません。

なので、それらで場合分けをして、

(ⅰ)k>0のとき、k(x-8k)(x+4k)<0⇔(x-8k)(x+4k)<0

今8k>-4kであるから、解は-4k<x<8kです。

(ⅱ)k=0のとき、f(x)=0となって負の数にはなりません。よって与式を満たさないので解なしとなります。

(ⅲ)k<0のとき、k(x-8k)(x+4k)<0⇔(x-8k)(x+4k)<0

またこの時は8k<-4kなので、解はx<8k、x>-4k。


以上より解答が求まりました。

 ②-1.)

$$\begin{align}x<-\frac{4}{3},x>1\end{align}$$

<解説>

不等式が絶対値を含んでいても、恐れることはありません。定義に従って外しましょう。

絶対値は中身が正ならそのまま外し、中身が負ならマイナスをつけて外すのでした。

なのでここで場合分けが生じます。

(ⅰ)x-1≧0⇔x≧1のとき、与式⇔3x²-x+1-3>0

     ⇔3x²-x-2>0⇔(x+1)(3x-2)>0

              ⇔x<-1,x>2/3

従ってx≧1と合わせてx≧1

(ⅱ)x-1<0⇔x<1のとき、与式⇔3x²+x-1-3>0

             ⇔3x²+x-4>0⇔(x-1)(3x+4)>0

             ⇔x<-4/3,x>1

よってx<1と合わせてx<-4/3

以上から解はx<-4/3、x≧1となります。

②-2.)

$$\begin{align}x<-6,x>11\end{align}$$

<解説>

これは連立不等式になっています。それぞれの不等式の解を出し、共通の範囲を見つければよかったですね。

その際、一方の式が絶対値を含む不等式となっていますから、それは前問と同様に解きましょう。


|x²-5x+6|-72<0⇔|(x-2)(x-3)|-72<0なので、

(ⅰ)(x-2)(x-3)>0⇔x<2,x>3のとき、|x²-5x+6|-72<0⇔x²-5x+6-72<0⇔x²-5x-66<0

                        ⇔(x+6)(x-11)<0⇔x<-6,x>11

従ってx<2,x>3と合わせてx<-6,x>11が解でOKです。

(ⅱ)(x-2)(x-3)<0⇔2<x<3のとき、|x²-5x+6|-72<0⇔-x²+5x-6-72<0⇔x²-5x+78>0

この左辺を因数分解しようとしてみると、判別式が負になりますから、この不等式を解くことは出来ず解なしとなります。

以上より、この絶対値を含む二次方程式の答えはx<-6,x>11です。


次に、二式目の不等式はx²-3x+2≧0⇔(x-1)(x-2)≧0

                ⇔x≦1,x≧2


従って、x<-6,x>11とx≦1,x≧2と合わせて、答えはx<-6,x>11です。

③-1.)

$$\begin{align}3-2\sqrt{3}<k<3+2\sqrt{3}\end{align}$$

<解説>

この問題では、左辺=f(x)とすると、y=f(x)を表すグラフが下に凸なのか上に凸なのかが鍵になります。

例えば上に凸なら、f(x)はいつかはx軸と交わって負に至るので、全てのxについて条件式を満たさなければならないとなると不適であると予測できます。

ですので、そのことについて場合分けをします。


(ⅰ)k+1>0⇔k>-1のとき、y=f(x)のグラフは下に凸なので、あとはf(x)がx軸との共有点を持たなければいいということになり、求める条件はf(x)の判別式をDとして、D<0です。

従って、D={-(k-1)}²-4・1・(k+1)=k²-2k+1-4k-4=k²-6k-3<0

ここで、k²-6k-3=0の解はk=3±2√3ですから、この解は3-2√3<k<3+2√3となります。

なのでk>-1と合わせて解3-2√3<k<3+2√3です。

(ⅱ)k+1=0⇔k=-1のとき、f(x)=2x-1。これは全てのxでは正にならないので不適です。

(ⅲ)k+1<0⇔k<-1のとき、f(x)は上に凸のグラフとなって、既に書いたように全てのxでは正にならないので同様に不適です。


以上より、3-2√3<k<3+2√3が答えとなります。

③-2.)

$$\begin{align}k>\frac{7}{2}\end{align}$$

<解説>

x²-2kx+2k+3=(x-k)²-(k-3)(k+1)=f(x)とおきます。

これが2≦x≦3の範囲で負になる条件を求めますが、こういう問題のときには、与えられた定義域中のグラフの形を色々試し書きしてみると良く、やってみると軸の位置がどこにあるかによって話が変わってくることが分かります。

従ってそこで場合分けをして、


(ⅰ)k<2のとき、条件を満たすにはf(2)とf(3)のうち大きい方の値が負であればよいです。

今、f(2)=-2k+7、f(3)=-4k+12で、f(3)-f(2)=-2k+5となり、これはk<2の範囲で正なので大きい方はf(3)。

従って-4k+12<0から条件はk>3となり、k<2と合わせて不適となります。

(ⅱ)2≦k≦3のとき、やはり同様にf(2)とf(3)のうち大きい方の値が負であればよいですが、f(3)-f(2)=-2k+5について、-1<-2k+5<1となり途中で大小が変わるようです。

なのでより詳しく場合分けしてみると、-2k+5≧0となるのはk≦5/2のとき、-2k+5<0となるのはk>5/2のとき。

よって、2≦k≦5/2のとき条件はf(3)=-4k+12<0よりk>3、これは不適解です。

次に5/2<k≦3のとき条件はf(2)=-2k+7<0よりk>7/2、これも不適解となりました。

(ⅲ)k>3のとき、(ⅱ)より、f(2)とf(3)ではf(2)の方が大きくなります。

よって条件はf(2)=-2k+7<0よりk>7/2で、k>3と合わせてもこれでOKです。


以上より、求める条件はk>7/2ということになります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。割にやっておくべきことの多いテーマとも思えますが、大事なことは


①二次不等式はグラフを書きながら理解する

②答えの可能性が何パターンかあるかもしれないと思えるところで場合分けをしていく


ということになります。

ただやみくもに計算していくのではなく、効率よく、整理整頓しながら考えてみましょう。


この記事の執筆者
スタモ編集部
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