目次
例えば「studyの過去分詞は何か」のような問いがあった場合、多くの人は
study – studied - studied
の活用表をイメージし、現在形 - 過去形 - 過去分詞だからstudiedである、と答えるのではないでしょうか。
この現在形 - 過去形 - 過去分詞の活用表で覚えていると、「過去分詞は過去形よりも更に過去のことである」かのような勘違いをしてしまいがちですが、それは違います。
確かに過去分詞は大過去(過去よりも更に過去)を表す際に使われることがありますが、過去分詞=過去よりも更に過去、ではありません。
過去分詞は過去形と異なり、時制を表すものではないからです。
では過去分詞とは何なのか、現在分詞との違いに注目してまとめていきます。
分詞には現在分詞と過去分詞があります。
「現在」「過去」だからといって、現在分詞は現在のこと、過去分詞は過去のこと、という時間の違いで区別されているわけではありません。
簡単に言うと、
①他動詞の場合 : 過去分詞は受動「~される、されている」、現在分詞は能動「~する、している」
②自動詞の場合 : 過去分詞は完了「~し終わった」、現在分詞は進行「~している」
このように区別されています。
他動詞surroundを使って考えてみましょう。
the woman surrounded by the children
今、分詞の部分を黄色、目的語の部分を緑で色付けしています。
このsurroundedが、surroundという動詞の過去分詞です。
これは、「子供達に囲まれている女性」という意味です。
女性を主体とし、「女性が囲まれている」という受動を表します。
では、こちらはどうでしょうか。
the children surrounding the woman
これは、「その女性を囲んでいる子供達」という意味です。
この場合、surroundingの主体はthe childrenで、能動を表します。
能動なのか受動なのかで、同じ状況であっても主体が変わります。
この「能動か受動か」が分詞を理解する上では非常に重要です。
例えば、日本語で「英語で書いてある本」という言い方をしますよね。
「書いてある本」なので能動を使うような気がするのですが、本は無生物なので自分で「書く」という行為をしません。
よって、これを英訳すると the book written in English となります。
日本語のイメージにかかわらず、英語では主体が「する」ならば能動、「される」ならば受動です。
自動詞fallを使って考えてみましょう。
a fallen leaf
fallenはfallの過去分詞なので、これは「落ち終わった葉」つまり「落ち葉」という意味です。
a falling leaf
fallingはfallの現在分詞なので、これは「落ちている葉」という意味です。
ただし、このように名詞を修飾する自動詞の過去分詞はあまり数が多くありません。
とにかく大事なのは、過去分詞は受動、現在分詞は能動を表すということです。
過去分詞の用法として、受動態に次いで頻出なものといえば完了形です。
完了形とは、完了・結果/経験/継続を表すことのできるもので、
現在完了:過去から現在を含む have+過去分詞
過去完了:過去よりも更に過去から過去まで had+過去分詞
未来完了:未来のある1時点のこと will+have+過去分詞
の形で使います。
例えば、「私は京都に3回行ったことがある」という文があったとします。
「行ったことがある」なので、これは完了・結果/経験/継続のうち経験を表します。
「私は京都に3回行ったことがある」は、今を含む人生全ての中で「3回行ったことがある」と解釈できるので、現在完了の文ということになります。
英訳すると
I have been to Kyoto three times.
となります。
「行く」なのにgoneではなくbeenを使うのは意外に思えますが、
実はgoneは「行ってしまってもういない」という意味を表すものなので、旅行という「行って帰ってくることが前提のこと」に対しては使えないのです。
goneはその性質上、死を表す際によく使われるので単に「行く」という意味では使わないように注意しましょう。
では、「私は高校に入る前に3回京都に行ったことがある」という文の場合はどうでしょうか。
「高校に入る前に」という時点で、「私」は高校生以上であることが明らかです。
ということは、この文は「今」を含まない為、現在完了を使って表すことはできません。
よって、「高校に入る前」は過去、「3回京都に行った」はその過去よりも更に過去ということになり、過去完了の文ということになります。
英訳すると、
I had been to Kyoto three times before I entered high school.
となります。
更に、「もう1度行ったら、私は京都に3回行ったことになる」という文の場合、
これは、「もう1度行ったら」という未来のある時点のことを指しているため、未来完了の文ということになります。
英訳すると、
I will have been to Kyoto three times if I go to there again.
となります。
現在完了、過去完了、未来完了のいずれの場合でも過去分詞を使います。
このことからも、過去分詞=過去よりも更に過去 ではないことがわかりますね。
過去分詞の代表的な使い方のひとつが受動態です。
受動態は、be動詞+過去分詞で表され、「~される」という意味を表します。
Tom broke this window yesterday.
この文を受動態にすると、
This window was broken by Tom yesterday.
となります。
be動詞が現在形なのか過去形なのかで、現在についての受動態なのか過去についての受動態なのかが決まります。
以上は中学で習う内容なので簡単そうに見えますが、受動態においては
①進行形にする時
②関係代名詞と一緒に使う時
の2つの時は注意が必要です。
受動態の進行形は、be動詞+being+過去分詞の形をとります。
現在進行形、過去進行形、未来進行形の区別はbe動詞が現在形、過去形、will beのどれを使っているかで決まります。
例えば「その図書館は建設中だ」という文の場合、図書館は自分で「建設する」ことはできないので、受動態を使って表します。
「その図書館は今建設中だ」ならば、 The library is being built now.
「その図書館はあの時建設中だった」ならば、 The library was being built at that time.
「その図書館は来週月曜日のこの時間建設中だろう」ならば、 The library will be being built at this time next Monday.
となります。
現在進行形、過去進行形、未来進行形いずれの場合もbeingは形が変わりません。
「進行形にする」という意識からか、過去分詞にingをつけてしまったり、amingやwasingなどbe動詞とbeingが混同してしまったりといったミスが非常に多いところなので、注意しましょう。
関係代名詞+受動態は、名詞を修飾する動詞と非常に混同しやすいのです。
例えば、「私は昨日田中先生に叱られた女の子を知っている」という分があったとします。
これを英訳するとどうなるでしょうか?
I know the girl who scolded by Mr. Tanaka yesterday.
を想像した人はいないでしょうか?
これは、上位大学を目指す人であっても意外としやすいミスなのです。
正解は、I know the girl who was scolded by Mr. Tanaka yesterday.
この文は関係代名詞の主格を使っていますが、その場合関係代名詞の後は動詞がこなくてはなりません。
I know the girl who scolded by Mr. Tanaka yesterday. では、関係代名詞の後に動詞がないので文として成立しないことになってしまいます。
「私は昨日田中先生に叱られた女の子を知っている」は、関係代名詞を使わなくとも
I know the girl scolded by Mr. Tanaka yesterday.
と分詞を使って表すこともできます。
実はこれは、I know the girl who was scolded by Mr. Tanaka yesterday.のwho wasを省略した形なのです。
そう考えると、関係代名詞を使う際は必ずbe動詞を忘れてはいけないことがわかりますね。
限定用法とは、一言で言うと「形容詞のように使える用法」です。
形容詞のように使えるということは、名詞を修飾するということです。
日本語で馴染みのある言葉も、実はこの用法を使っているものがあります。
例えば、
・boiled egg=ゆでられたたまご=ゆでたまご
・fried chicken=揚げられた鶏=フライドチキン
などがそうです。
汎用性が高いので、長文などで目にする機会の多い用法です。
また、限定用法の決まりとして、
・分詞1語で修飾する場合=名詞の直前
・分詞を含む2語以上で修飾する場合=文末
と、分詞の置く位置が変わります。
The police found the stolen wallet. (警察は盗まれた財布を見つけた。)
この場合、stolenがwalletを1語で修飾しています。
The police found the wallet stolen by the thief.
この場合は、stolen by the thiefと4語でwalletを修飾しているので、文末に置きます。
叙述用法とは、一言で言うと「補語として使える用法」です。
補語ということは、S=Cが成り立ちます。
分詞は動詞の変化形なので、この用法では「動作や状態の継続」を表します。
ただ、この用法では能動と受動の識別に気を付けなくてはなりません。
こちらの例文を見てみましょう。
Her eyes remain closed. (彼女は目を閉じたままだ。)
日本語では「目が閉じている」という言い方をしますが、
目は動作の主体となって能動的に「閉じる」わけではなく、目の所有者によって「閉じられ」ます。
よって、直訳すると「彼女の目は閉じられたままだ」、転じて「彼女は目を閉じたままだ」となります。
このHer eyes remain closed.という例文は「現在分詞かと思いきや過去分詞を使う」という有名なものなので、
この機に覚えておくといいですね。
また叙述用法では、walk, sit, come, standといった自動詞が分詞を伴うことがあります。
例えば、
He sat on the floor surrounded by girls. (彼は女の子達に囲まれて床に座っていた。)
このように、「~しながら/~されながら」という様態を表す用法です。
この用法は分詞を補語として使うものですが、SVCではなくSVOCを作るものです。
例えば、以下のようなものです。
They usually keep the door locked. (彼らは普段そのドアに鍵をかけておく。)
SVOCはO=Cになるので、この例文だとthe door=lockedとなります。
ドアは無生物なので、鍵を「かけられる」側です。よって受動態、つまり過去分詞で表します。
叙述用法とは違い、分詞の部分の主体は文の主語ではなく目的語であるという点に注意が必要です。
また、SVO+分詞で過去分詞を使う場合は、Oが無生物であることが多いです。
例えば、 I want dis room cleaned. (この部屋を綺麗にしてほしい)など。
部屋は無生物なので、能動的に「掃除する」ということはありませんよね。
よって、「掃除される」という受動で表す必要があるのです。
分詞=分詞構文と思っている人も多いと思いますが、分詞と分詞構文はイコールではありません。
分詞とはあくまで、動詞のing形や過去分詞を使って色々な意味を表すことができるもの。
では分詞構文とは何かと言うと、分詞のかたまりを副詞的に使って文に情報を補足するものです。
今まで挙げてきた用法だと、分詞は形容詞的に使って名詞を修飾したり、補語となったりしていましたが、
分詞構文の最大の特徴はこの「副詞的に使う」ということです。
「副詞的に使う」とはつまり、「文頭もしくは文末」にあって、「文の構成要素としてはなくてもよいもの」です。
分詞構文では、特に以下の2つのポイントに注意が必要です。
①基本的な使い方
②現在分詞を使うか、過去分詞を使うか
③完了の分詞構文
分詞構文は「~している」「~される」という能動・受動だけでなく、様々な意味を表すことができます。
分詞構文で主に表すことのできる意味としては、
・~ので ※文頭に置かれる※
・~しながら
・~すると
・~している時
・~してそして
の5つです。
そして、この5つのうちどれが使われているかは「この要素があったら絶対にこう」という条件があるわけではなく、
主節との関係によって断定していきます。
例えばこれ。
Written in simple English, this book is easy to understand.
主語はthis book、述語動詞はisです。
Written in simple English, の部分で分詞構文を構成しています。
分詞構文を構成する部分と主節をそれぞれ見てみると、
「簡単な英語で書かれている」「この本は理解しやすい」です。
この2つには因果関係があるため、訳としては「~ので」が自然です。
よって、この文は「簡単な英語で書かれているので、この本は理解しやすい。」という意味になります。
Supported by her classmates, she managed to solve the problem.
こちらは、「クラスメートに支えられる」「彼女はなんとかその問題を解決した」の両者に「~してそして」という関係が成り立ちます。
よって、「クラスメートに支えられて、彼女はなんとかその問題を解決した。」という意味であると断定できます。
分詞構文の意味は、このように主節との関係によって断定していきます。
分詞が文頭もしくは文末にあり、副詞的に使われていると考えられる場合、
まず主節がどこなのかを判断し、主節と分詞がどのような関係にあるかを考えれば意味がわかります。
分詞構文において最も注意しなくてはならないのは、分詞の主体は文の主語になるということです。
Written in simple English, this book is easy to understand. も、this bookが主体なので受動のwrittenを使います。
能動ならば現在分詞を使うことになるのですが、現在分詞と混同しがちなものとして有名なのが、
Seen from the airplane, the island looks like a bird.
という文です。
これは、訳すと「飛行機から見ると、その島は鳥のように見える」です。
日本語では「飛行機から見ると」という訳が自然ですが、分詞の主体はあくまで文の主語。
文の主語はthe islandつまり「島」、無生物です。
ここまでの用法で何回か出て来たように、日本語では現在分詞を使うかのように思えても、
無生物が能動的に何かをするということは非現実的なので、ここは過去分詞を使います。
島は「見る」ではなく「見られる」側なので、現在分詞を使うのは間違いです。
また、分詞構文の場合否定語notやneverは分詞の前に置かれます。
Not knowing what to say, I was just standing. (何を言うべきか分からなかったので、私はただ経っていた)
ですが、notやneverを伴った分詞構文では現在分詞を使うことが多く、過去分詞を使ったものはあまり用例として多くありません。
今まで見てきた分詞構文は、分詞構文で表す部分と文の述語動詞が同じ時でした。
しかし、「原作小説を読んでいたので、私はすでにその映画の結末を知っていた」という文を分詞構文で表すとなるとどうでしょうか。
Reading the novel, I already knew the ending of the movie.
こうしたいところですが、これだと「原作小説を読む」「映画の結末を知っている」が同時に起きたという意味合いになってしまいます。
原作小説を読んだのは、映画の結末が分かってしまうよりも明らかに過去のことです。
そういう場合は、分詞の部分をHaving+過去分詞で表します。
よって、正解はHaving read the novel, I already knew the ending of the movie.です。
これは、能動態であれ受動態であれ共通でHaving+過去分詞で表します。
受動態だからHad+過去分詞にしてしまうミスが多いところなので注意しましょう。
分詞構文を作る際は、分詞で表したい部分が述語動詞と同じ時なのか、それとも前なのかに気を付けることが必要です。
・分詞の主体が能動的に「する」なら現在分詞、受動的に「される」なら過去分詞
・分詞は形容詞としても補語としても使える
・分詞構文は副詞、意味は主節との関係で判断
→分詞の主体と文の主語が違う場合は分詞の主体を分詞の前に
→分詞が文の述語動詞よりも過去の場合はHaving+過去分詞