2019年01月22日更新
ド・モルガンの法則の使い方と集合や要素の定義、図形的な意味を詳しく解説
本記事ではド・モルガンの法則の使い方と集合や要素の定義、法則の図形的な意味を詳しく解説していきます。集合と要素の違いや、和集合、共通部分などの意味をしっかりと理解して、ド・モルガンの法則を身につけていきましょう。

はじめに

「ド・モルガンの法則ってどんな定義? そもそも集合と要素って何? 和集合と共通部分の違いは? どんな問題でド・モルガンの法則を使えばいいの?」

本記事ではそのような疑問に答えます。

集合と要素とは?

本記事ではド・モルガンの法則を解説しますが、その前に「集合」や「要素」の定義を確認しておきましょう。

すでに理解している方は読み飛ばしても大丈夫です。


2の倍数の2、4、6、8、…のように、ある条件に当てはまる数字などを集めたものを集合といい、集合に入っている一つ一つのものを要素と呼びます。


集合はアルファベットの大文字で表すことが多く、上記の例だと、

 \(A={2、4、6、8、…}\)

のように中括弧の中に要素を書き出していくものや、

 \(A={x|xは2の倍数}\)

といった形で、アルファベットの小文字で要素を示し、その条件を右側に書いていくものなどがあります。

また、2が集合Aに入っていることを、2はAに属するといい、

 \(2∈A\)

と表します。

Aは偶数の集合なので、3などの奇数は含んでおらず、

 \(3∉A\)

と表します。

部分集合と和集合、共通部分

集合には数字がたくさん入っているものや少ないものなど、さまざまなものがあります。

例えば、2つの集合AとBを、

 \(A={2、4、6、8、10}\)

 \(B={2、4、6}\)

とおきましょう。


Bの要素はすべてAに入っています。

このとき、BはAの部分集合であるといい、

 \(B⊂A\)

と表します。

集合同士の関係を表した図をベン図と呼び、このようなイメージになります。

そしてAとBの少なくとも一方に入っている要素を集めたもの、すなわち、AとBの要素をすべて合わせた集合をAとBの和集合と呼び、

 \(A∪B\)AまたはB、あるいは、AカップBと読みます)

と表します。

下図の緑の部分です。

両方の集合に共通して入っている要素の集まりをAとBの共通部分といい、

 \(A∩B\)AかつB、あるいは、AキャップBと読みます)

と表します。

共通部分は積集合とも呼びます。

共通集合とはいいませんので、注意してください。

上記の例では、 

 \(A∪B={2、4、6、8、10}\)

 \(A∩B={2、4、6}\)

となります。

全体集合と補集合、空集合

集合の定義で欠かせないのが全体集合補集合です。

例えば、

 \(A={x|xは偶数}\)

とします。

この場合、A以外の数の集まりは奇数となりそうですが、数には他にも小数や分数などの数がありますよね。

しかし整数全体で見れば、A以外の数は奇数となります。

このように集合を考える上で、そのすべてを集めたものを全体集合と呼び、通常Uを用いて表します。

また、A以外の要素を集めたものをAの補集合と呼び、

 \(\overline{A}={x|xは奇数}\)Aバーと読みます)

と表します。

AとAの補集合を合わせれば、

 \(A∪\overline{A}=U\)

となるわけですね。


それでは、

 \(A∩\overline{A}\)

は何を表すのでしょうか?


偶数かつ奇数は存在しないため、

 \(A∩\overline{A}=0\)

としたいところです。

しかし集合の単元では、要素が1つも入っていなくてもそれを集合をみなし、空集合(くうしゅうごう)と呼んでいます。

記号は\(\varnothing\)を用い、

 \(A∩\overline{A}=\varnothing\)

と表現します。

ゼロではなく丸に棒線です。


空集合はあくまで集合なので、

 \(\varnothing∈U\)

ではなく、

 \(\varnothing⊂U\)

のように使います。


ド・モルガンの法則とは?

和集合↔共通部分

集合に関する定義を踏まえた上で、これがド・モルガンの法則です。


2つの集合A、Bがあるとき、

 ①\(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)

 ②\(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)

が成り立つ。

ド・モルガンの法則の証明

ベン図からイメージ!

法則①を文章にすると、「AとBの共通部分の補集合は、Aの補集合とBの補集合の和集合に等しい」となりますが、イメージが非常につかみにくいのではないでしょうか?

そこで、ド・モルガンの法則が成り立つ理由はベン図から考えていきます。


①の証明

Uを全体集合として、AとBをその部分集合とした場合、\(\overline{A∩B}\)はこのようになる。

\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)はこのようになる。

よって\(\overline{A}∪\overline{B}\)は\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)のどちらか一方、または両方に入っている部分を合わせたものなので、\(\overline{A∩B}\)と等しくなる。

②の証明

同様に\(\overline{A∪B}\)は下記のようになる。

\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)は①の図と等しい。

よって、\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)の共通部分は、Aの内側とBの内側を除いた部分\(\overline{A∪B}\)に等しい。


それではド・モルガンの法則を含む、集合の問題に挑戦してみましょう。

ド・モルガンの法則の使い方

要素が具体的にわかっているとき

【例題1】

全体集合Uとその部分集合A、Bを、

 \(U={1、2、3、4、5、6、7、8、9、10}\)

 \(A={2、4、6、8、10}\)

 \(B={1、2、3、4、5}\)

と定めるとき、次の集合を求めなさい。

 \(①A∩B\)

 \(②A∪B\)

 \(③\overline{A}\)

 \(④\overline{B}\)

 \(⑤\overline{A∩B}\)


【ポイント】

⑤はド・モルガンの法則を使いましょう。

【例題1の解答】

①A∩Bの要素はAとBの両方に共通して入っている数字なので、

 \(A∩B={2、4}\)


②A∪Bの要素はAとBのどちらか、または両方に入っている数字なので、

 \(A∪B={1、2、3、4、5、6、8、10}\)


③\overline{A}の要素は、全体集合UからAの要素を除いたものなので、

 \(\overline{A}={1、3、5、7、9}\)


④\overline{B}の要素は、全体集合UからBの要素を除いたものなので、

 \(\overline{B}={6、7、8、9、10}\)


⑤ド・モルガンの法則より、

 \(\overline{A∩B}=\overline{A}∪\overline{B}\)

これは\overline{A}と\overline{B}のどちらか、または両方に入っている数字なので、

 \(\overline{A∩B}={1、3、5、6、7、8、9、10}\)

この問題をベン図で解く場合は、A∩BまたはA∪Bの数字を最初に書くことに注意してください。

今回は①でA∩B={2、4}と求めてから、ベン図の中央を埋めていきます。

そしてA∩B={2、4}とA={2、4、6、8、10}を比べ、Aだけに入っている数字を求めると{6、8、10}となります。

同様に、B={1、2、3、4、5}から、Bだけに入っている数字もB={1、3、5}となります。

これで図が描けるようになるわけですね。

【例題1】は要素が個別に並んでいました。

しかし次の問題はどうでしょうか?

集合と数直線

【例題2】

全体集合Uを実数全体とし、その部分集合A、Bを、

 \(A={x|-2<x<3}\)

 \(B={x|2≦x≦5}\)

と定めるとき、次の集合を求めなさい。

①\(\overline{A}\)

②\(\overline{B}\)

③\(\overline{A∪B}\)


【ポイント】

xの範囲が不等号で示されている場合は、数直線に書くとイメージしやすくなります。

補集合を考えるとき、不等号にイコールが入るか入らないかに注意しましょう。


【例題2の解答】

①Aの要素はは-2より大きく、3より小さいので、その補集合は-2以下、または3以上の数となる。

よって、

 \(\overline{A}={x|x≦-2、3≦x}\)

②Bの要素は2以上5以下なので、その補集合は2より小さいか、または5より大きな数となる。

よって、

 \(\overline{B}={x|x<2、5<x}\)

③ド・モルガンの法則より、

 \(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}\)

\(\overline{A}∩\overline{B}\)の要素は\(\overline{A}\)と\(\overline{B}\)の両方に共通して入っているので、

 \(\overline{A∪B}=\overline{A}∩\overline{B}={x|x≦-2、5<x}\)

最後はド・モルガンの法則の応用問題です。

ベン図を書きましょう!

【例題3】

全体集合Uとその部分集合A、Bが、

 \(U={x|1≦x≦10を満たす整数}\)

 \(\overline{A}∩\overline{B}={4、6、8、10}\)

 \(\overline{A}∩B={1、2、7}\)

を満たしているときAを求めなさい。


【ポイント】

\(\overline{A}∩\overline{B}\)の要素は、ベン図でどこに入るでしょうか?

ド・モルガンの法則を用いてみましょう。

【例題3の解答】

ド・モルガンの法則より、

 \(\overline{A}∩\overline{B}=\overline{A∪B}\)

よって全体集合のうち、A∪B以外の部分が{4、6、8、10}なので、

 \(A∪B={1、2、3、5、7、9}\)

となる。

\(\overline{A}∩B\)の{1、2、7}は、AではなくBにのみ入っている要素を示すので、A∪Bからこの要素を除くと、

 \(A={3、5、9}\)

ちなみにA∩Bの要素は最後までわかりません。

おわりに

以上、ド・モルガンの法則を解説しました。

集合の単元では大切な公式ですが、和集合や補集合などの用語を確実に抑えて使いましょう。

また、式だけに頼らず、数直線やベン図など、集合を常に図で表しすことを心がけてください。

パターンはそれほど多くない単元なので、得点源になるよう頑張りましょう!

この記事の執筆者
スタモ編集部
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